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中日新聞掲載の大学記事

2008.04.30

細胞分裂に必須タンパク質 名大准教授らが発見

 動物の細胞分裂の際に必要な未知のタンパク質を、名古屋大高等研究院の五島剛太特任准教授(細胞生物学)らのグループが発見し、「オーグミン」と名付けた。細胞分裂のメカニズム解明につながり、がんの増殖を抑制する研究にも応用できそうだ。成果は28日付の米科学誌ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー(電子版)に掲載された。

 生物は細胞分裂の際、遺伝子を含む染色体を複製しながら、子孫に遺伝情報を伝えていく。複製されて対になった染色体は、ひも状の微小管によって引っ張られることで、新しい細胞に分配される。しかし、微小管の生成過程はこれまで謎だった。

 五島准教授らは、ショウジョウバエの研究で、細胞分裂に必要な205の遺伝子を特定。1つ1つ破壊して役割を調べていった。このうち5つを破壊すると、微小管の数が減少し細胞分裂に異常が生じていることを発見。5つから生み出されるタンパク質が複合体として働いていることが分かった。これらを五島准教授らはオーグミンと名付けた。

 オーグミンは人間にもあり、同様の働きをしている。

 五島准教授は「微小管はがん細胞の増殖以外にも、神経細胞や卵子の形成に深くかかわっており、今回の成果を応用すれば、アルツハイマー病など神経疾患や不妊症の原因解明にも役立つ可能性がある」と話している。

(2008年4月30日 中日新聞朝刊29面より)

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