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中日新聞掲載の大学記事

2015.09.19

長期インターン中小活況 数カ月〜半年 学生熱意、事業に生きる

 東海地区の中小企業で、数カ月にわたって学生を職場に受け入れる中長期のインターンシップ(就業体験)が広がっている。企業側は学生の能力や熱意を生かし、新規事業の立ち上げを任せるケースも。大学側も社会や企業の実情を学べるとして、インターンシップを単位と認める動きが出ている。(坂田奈央)

 雨がっぱの老舗メーカー、船橋(名古屋市中村区)は、新製品開発で国からものづくり補助金の交付決定を受ける際にインターンシップを活用した。大学3年生の征矢野(そやの)友香さん(20)が7月までの6カ月間、舟橋昭彦社長(48)と二人三脚で防水強化実験を20回行い、40ページにわたる交付申請用の報告書をまとめた。

 「仕事を選ぶ基準はやりがいだと気づいた」と話す征矢野さん。その活躍を知った後任の奥田真也さん(21)は「やみくもに志望書を書いて大企業を選ぶ就職活動はしたくなかった」と、3年生の途中で休学して同社の門をたたいたという。

 「若い力をもらうことで新たな挑戦ができた」と話すのは、現在9人の学生を受け入れている丸八テント商会(名古屋市中区)の佐藤均社長(55)。7月に岐阜市立中央図書館に納めた直径8〜14メートルのドーム状の照明器具「グローブ」11個は、大学4年生の竹田悠人さん(21)が担った。40人の学生を集め、ポリエステル素材に不織布を手で一枚ずつ貼り付け、5カ月間で完成させた。竹田さんは「多くのチャンスがもらえる」と来春の入社を決め、すでに人事など主要業務を任されている。

 丸八テントではインターネット事業も2012年に学生主導で立ち上げ、今では1日に10件近くの注文が舞い込み、年間数億円の売り上げを上げている。

 6カ月間のインターンシップを企画するNPO法人「G−net」(岐阜市)によると、今年は東海3県の中小企業約50社が受け入れている。一般的なインターンシップは1週間以内だが、G−netは「それでは体験だけで終わってしまう」と中長期にこだわる。学生は授業に出ながら原則週3日、休暇中は週5日出勤し、企業から月4万〜6万円の「活動支援金」を受け取る仕組みだ。米金融大手ゴールドマン・サックスもこうした中小企業を支援するため、インターンシップに必要な費用のうち、1社あたり40万円を助成している。

 一方、名古屋学院大では来年度から、6週間程度のインターンシップで単位が取得できる仕組みを導入する見込み。同大現代社会学部の榎沢幸広准教授は「社会で必要な積極的な行動力を身につけられる」と評価する。

(2015年9月19日 中日新聞朝刊10面より)

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