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中日新聞掲載の大学記事

2015.09.10

至学館勢3人 五輪手中 吉田の背中強さの源流

 【ラスベガス=鈴木智行】レスリング女子の名門・至学館大(愛知県大府市)から、リオデジャネイロ五輪の主役候補が続々名乗りを上げた。当地で行われている世界選手権で9日、卒業生で五輪4連覇を狙う女子53キロ級の吉田沙保里選手(32)=ALSOK=が世界大会16連覇を達成。4年生である48キロ級の登坂(とうさか)絵莉選手(22)も3連覇、3年生で69キロ級の土性(どしょう)沙羅選手(20)は銅メダルで、ともに初の五輪出場を確実にした。

 「絵莉と私の戦いを見てたんだから、あきらめず戦ってくれるはず」。取材エリアのテレビで土性選手の3位決定戦を見つめた吉田選手は、勝利を見届けると「みんなで五輪に行けるのは頼もしい」と喜んだ。前身の中京女子大を卒業後、ほぼ一貫して至学館大を拠点に練習。時に厳しさ、時に優しさを表に出して強豪の伝統を形づくってきた。

 渡米を控えた今月初めの至学館大道場。吉田選手がスパーリングの合間、休憩からマットに戻らない後輩を一喝すると空気が一瞬で引き締まった。練習後はアイロンを手に、登坂選手らの日本代表用ズボンの折り目を整えた。栄和人監督(55)は「至学館大の強さは練習時間の長さや私の指導にあるのではない。身近に世界で活躍する選手がいて『ああいうふうになりたい』との意識が明確になっている」と話す。

 レスリング部は1989年に創設され、96年から栄監督が指導。2004年アテネ五輪から3大会に現役、卒業生が3人ずつ出場し、全員が金か銀のメダルを獲得してきた。

 今大会で吉田選手と同部屋だった登坂選手も夢舞台へ。吉田選手の父で昨年3月に急逝した栄勝さんの教室でレスリングを始めた土性選手も夢をほぼ実現させた。リオ五輪は女子の階級が4から6に増えており、中京女子大の卒業生で10日に登場する58キロ級の伊調馨選手(31)=ALSOK=を含めて4人以上の至学館勢が五輪に臨む可能性がある。

【至学館大】前身は中京女子大。2010年に校名変更し全学部で男女共学化。1989年に女子レスリング部を創設。ソウル五輪代表だった栄和人監督の下、ともに五輪3連覇の吉田沙保里、伊調馨、ロンドン五輪48キロ級金メダリストの小原日登美ら有力選手を数多く輩出している。2005年には、全国初の女子硬式野球部を発足させ、話題を呼んだ。愛知県大府市。

(2015年9月10日 中日新聞夕刊13面より)

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