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中日新聞掲載の大学記事

2008.03.19

災害時 通信確保に威力 中部大 ソーラー飛行船実験

 災害時に被災地上空を飛び、通信の確保や情報収集を図るソーラー飛行船の公開実験が17日、春日井市の中部大であった。将来的には機体制御から通信機器の作動まですべてを太陽エネルギーによる発電で賄う計画で電気や通信システムなどがダウンした緊急時の活躍が期待されている。

 飛行船は、中部大の梅野正義教授(70)らのグループが名古屋工業大や民間企業などと共同で開発中。愛・地球博(愛知万博)では無線インターネットの中継基地としてすでに登場し、2006−08年度の総務省「戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)」の助成事業にも選ばれている。

 梅野教授らの計画では飛行船にカメラと無線LAN装置を搭載。災害発生時、カメラで撮影した被災地の様子を地上に送信し被害確認や避難誘導に役立てる。また被災者が携帯型ゲーム機などを無線機器として使って自分の名前、位置、安否情報を飛行船に送信、家族に伝えられるようにする。電源は機体上部にソーラーパネルを設置する。

 この日の公開実験では機器の重量などの問題からソーラーパネルを外した上、カメラと無線LAN装置を2台の飛行船(全長約6メートル)に分けて実施。実際に上空70メートルからの映像を地上で受け取ったり、位置情報などを送信したりして作動を確かめた。

 今後は1台の飛行船にすべての機器を装備させられるよう軽量化を進めるとともに、さらに広い範囲をカバーできるよう現在係留して揚げている飛行船を地上操作で飛ばすことを目指す。自動で道路状況を分析するシステムも開発、搭載する予定だという。(岡本太)

(2008年3月19日 中日新聞朝刊県内版より)

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