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中日新聞掲載の大学記事

2015.04.24

進む高齢化 藤田保衛大が一役 団地に「保健室」 見守る

■URと協力 豊明に開所

 住民の高齢化が進む愛知県豊明市の豊明団地で、空き店舗を活用し、近くにある藤田保健衛生大の保健師ら医療スタッフが常駐する「ふじた まちかど保健室」が24日、オープンした。大学が団地を管理する都市再生機構(UR)と提携し、職員や学生が団地に住んで住民の健康管理を支援する全国でも珍しい試みだ。この日の開所式では、関係者が「地域の医療福祉の拠点に」と期待をふくらませた。(社会部・中崎裕)

 団地のすぐ隣にある藤田保健衛生大病院は、一昨年から、地域の医療や介護を支援する地域包括ケア中核センターをつくり在宅医療に力を入れてきた。取り組みの延長として、団地に住む人たちの健康づくりに一役買おうと、保健師や看護師、薬剤師らが日替わりで団地内に常駐する「前線基地」をつくることを決めた。お年寄りの健康相談や子育て相談に応じ、認知症の予防教室などを開くほか、家に閉じこもりがちなお年寄りには自宅訪問もする予定だ。

 高度成長期に多くが造られたURの団地は、各地で高齢化問題を抱える。1971年ごろに建設され、55棟が並ぶ豊明団地も、住人約4000人のうち約1100人が65歳以上。しかも、270人以上は独り暮らしだ。

 独居や要介護者を抱える高齢者は、家に閉じこもりがちになり、体の不調や認知症などに陥りやすい。団地自治会の副会長で民生委員の糸魚川幸江さん(65)は「一人で悩んでいるとき、保健室が外に出るきっかけになれば」と期待する。

 大学側は学生が高齢者の生活や地域医療の実践を学ぶ場としても位置付ける。URが若者向けに人気家具メーカーと協力して部屋を改装するなどし、エレベーターのない建物の上層階に学生16人が入居。地域活動にも参加してもらい、住民と一体化することでお年寄りの生活状況を深く理解してもらうのが狙いだ。

 開所式で同大地域包括ケア中核センター長の金田嘉清副学長は「医療と介護を知る学生を育て、社会に送り出したい」と強調。大学を運営する学校法人藤田学園の小野雄一郎理事長は「地域と信頼関係を築き、全国のモデルとなる地域医療福祉拠点にしていきたい」と期待を込めた。

 開所式の後は、保健室スタッフの薬剤師による手品ショーも。早速、団地のお年寄りたちが集まり、手品に驚きの声を上げたり笑ったりして刺激を受けていた。今後も日替わりで高血圧や薬の正しい飲み方、「あたまの体操」などの講座を開いていく。

(2015年4月24日 中日新聞夕刊13面より)

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