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中日新聞掲載の大学記事

2015.03.20

巨大星誕生 仕組み解明 名大教授グループ

 誕生したばかりの巨大星の発見に、名古屋大大学院理学研究科の福井康雄教授(電波天文学)と大浜晶生研究員らのグループが成功し、19日、大阪大で開かれている日本天文学会で発表した。最大で太陽の100倍を超える重さにもなる巨大星は、形成の仕組みが謎となっている。今回の発見により、宇宙を漂う水素のガス雲が衝突し、巨大星が生まれる過程が明らかになった。

 グループは、名大が南米チリに設置した電波望遠鏡「NANTEN2」などを使い、地球から1万光年の場所で大小2つのガス雲が衝突しているのを観測した。大きいガス雲に小さいガス雲がめり込むようにぶつかり、大きい方がおわん状に変形。ガスの密度が極めて濃くなったおわんの底の部分に、太陽の約20倍の重さとみられる巨大星が誕生しているのを突き止めた。誕生から10万年が経過し、巨大星としてはごく初期の段階にあるという。

 巨大星は最後に爆発し、生命の誕生に不可欠なカルシウムや鉄などを宇宙に放出することで知られる。存在する数が少ない上に、形成が進むと母体のガス雲を破壊してしまうため、形成のメカニズムが分かっていなかった。

(2015年3月20日 中日新聞朝刊3面より)

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