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2015.03.01
学生「いつ内定?」迷う 短い“見合い”に焦り 就業体験 企業は強化
学業優先を掲げ、会社説明会の解禁が3カ月遅れの3月1日にスタートとなった就職戦線。インターンシップ(就業体験)への参加など準備に余念がない学生たちだが、短期決戦を強いられる新ルールに焦りや戸惑いを隠せない。企業側も優秀な人材を確保しようと、あの手この手と工夫を凝らしている。
「短い勝負で、ミスができない。少し緊張しています」。名古屋市立大3年の女子学生(21)は解禁目前の心境を説明した。これまで地元商社など2社のインターンシップに参加。「解禁前に何をしてきたかで差がつくはず。体験を生かしたい」と意気込んだ。
愛知県出身の明治大3年の女子学生(21)は、愛知を中心に製薬関連など4社で仕事を体験。経団連に非加盟の外資系企業から既に内定を得た学生もいるといい、「焦りを感じる。早く決め、短期留学したいのですが・・・」。名城大3年の男子学生(21)は、周囲に学年末試験と就職活動が重ならなかったことを喜ぶ声もあるとしつつ「今年はいつごろ内定が多く出るのか、いつ危機感を抱くべきなのかも分からない」と不安げに話した。
一方、企業側も短期間で学生の特徴をつかもうと腐心している。就職情報会社ディスコの調査によると、愛知、岐阜、三重、静岡、長野、福井、石川、富山、新潟、山梨県で2014年度からインターンシップを始めたと答えた企業は、回答のあった180社のうち16.1%に上った。
名古屋鉄道は学生の長期休み中のインターンシップを大幅に増やした。13年度は夏1回だけだったが、14年度は夏2回に加え今年2月にも5回開催。参加者は前年度から7倍の140人になったという。
会社説明会の解禁を待たず、自社や業界を売り込もうという試みも。
南山大では2月26日、ライバル関係の松坂屋名古屋店、ジェイアール名古屋高島屋、名古屋三越栄店の各運営会社が合同セミナーを開いた。3店に勤務する南山大OBたちが「自分らしさを大切にしてほしい」などとアドバイス。説明会ではなく、あくまで「業界研究会」の位置づけだが、セミナー担当者は「3社合同であれば学生の参加者が増え、優秀な人材を確保できる」と本音を漏らす。
自動車部品で国内最大手のデンソー(愛知県刈谷市)は2月上旬、名古屋学芸大デザイン学科3年生と共同で展示会を催した。優秀な人材を求め、工学部出身者だけでなく、縁の薄かったデザイン系にも採用の幅を広げる狙いがある。同社デザイン部の吉田佳史担当部長(56)は「日本では設計とデザインは別だと思われているが、英語ではどちらも『デザイン』。外観が美しい製品は機能面も優れている」と説明する。
学生と年齢が近い「リクルーター」を重視するのは東海東京証券(名古屋市)。昨年から20人増という約50人の若手社員を出身校に送り、学生にアピールする。会社説明会と違い「若手社員の生の声を伝えるので、学生も親しみやすいのでは」(採用担当者)と話した。
(2015年3月1日 中日新聞朝刊35面より)
「短い勝負で、ミスができない。少し緊張しています」。名古屋市立大3年の女子学生(21)は解禁目前の心境を説明した。これまで地元商社など2社のインターンシップに参加。「解禁前に何をしてきたかで差がつくはず。体験を生かしたい」と意気込んだ。
愛知県出身の明治大3年の女子学生(21)は、愛知を中心に製薬関連など4社で仕事を体験。経団連に非加盟の外資系企業から既に内定を得た学生もいるといい、「焦りを感じる。早く決め、短期留学したいのですが・・・」。名城大3年の男子学生(21)は、周囲に学年末試験と就職活動が重ならなかったことを喜ぶ声もあるとしつつ「今年はいつごろ内定が多く出るのか、いつ危機感を抱くべきなのかも分からない」と不安げに話した。
一方、企業側も短期間で学生の特徴をつかもうと腐心している。就職情報会社ディスコの調査によると、愛知、岐阜、三重、静岡、長野、福井、石川、富山、新潟、山梨県で2014年度からインターンシップを始めたと答えた企業は、回答のあった180社のうち16.1%に上った。
名古屋鉄道は学生の長期休み中のインターンシップを大幅に増やした。13年度は夏1回だけだったが、14年度は夏2回に加え今年2月にも5回開催。参加者は前年度から7倍の140人になったという。
会社説明会の解禁を待たず、自社や業界を売り込もうという試みも。
南山大では2月26日、ライバル関係の松坂屋名古屋店、ジェイアール名古屋高島屋、名古屋三越栄店の各運営会社が合同セミナーを開いた。3店に勤務する南山大OBたちが「自分らしさを大切にしてほしい」などとアドバイス。説明会ではなく、あくまで「業界研究会」の位置づけだが、セミナー担当者は「3社合同であれば学生の参加者が増え、優秀な人材を確保できる」と本音を漏らす。
自動車部品で国内最大手のデンソー(愛知県刈谷市)は2月上旬、名古屋学芸大デザイン学科3年生と共同で展示会を催した。優秀な人材を求め、工学部出身者だけでなく、縁の薄かったデザイン系にも採用の幅を広げる狙いがある。同社デザイン部の吉田佳史担当部長(56)は「日本では設計とデザインは別だと思われているが、英語ではどちらも『デザイン』。外観が美しい製品は機能面も優れている」と説明する。
学生と年齢が近い「リクルーター」を重視するのは東海東京証券(名古屋市)。昨年から20人増という約50人の若手社員を出身校に送り、学生にアピールする。会社説明会と違い「若手社員の生の声を伝えるので、学生も親しみやすいのでは」(採用担当者)と話した。
(2015年3月1日 中日新聞朝刊35面より)