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中日新聞掲載の大学記事

2014.11.20

名古屋・栄 中日文化センター 来年1月 新講座スタート 「風土記の神話世界」

■見えてくる地方の精神 皇学館大教授 橋本雅之さん

 713(和銅6)年、中央官庁から地方の各国へ「風土記」の編纂(へんさん)の官命が発令された。鎌倉時代には30近くが残っていたといわれるが、現在に伝わるのは5つ。ほぼ完全状態で出雲国。播磨、肥前、常陸、豊後国の一部がある。それぞれが、古代の地理や自然、農耕地の状況、土地の言い伝えなどを残している。

 「ヤマト王権を記録した古事記や日本書紀などの記紀が歴史の縦軸なら風土記は横軸。それを編纂者も理解していたでしょう。日本神話で活躍する神々が出てこない風土記は、土地に暮らす自分たちが主人公の物語なのです。伝えられたのは、中央と共存し、共生する地方の姿だと、私は思います」と国文学者で皇学館大教授の橋本雅之さんは言う。

 講座「風土記の神話世界−古代の各地に芽生えた神話のこころをたどる」では、6回にわたって橋本さんが風土記の世界を案内する。初回は概説。以降、それぞれの地域ごとに見ていく。

 最終回では「浦島伝説」を取り上げる。浦島伝説は古くから、また広く知られている。散逸した丹後国風土記や万葉集に記される。だが、結末は私たちが知っている昔話と同じではない。そこには、日本人が持ち続けてきた豊かな精神文化がある。

 「土地に暮らした人たちが何を大事にしていたのか。たとえ断片的でも、風土記の伝承から具体的に見えてくる。それは古事記や日本書紀を読んでも見えてこないものでしょう」

第4火曜午後1時、6カ月分1万3200円

ホームページはhttp://www.chunichi-culture.com/

(2014年11月20日 中日新聞夕刊4面より)
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