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中日新聞掲載の大学記事

2008.12.23

愛知医科大 培養皮膚の移植成功 9割超熱傷の男児

 愛知医科大(愛知県長久手町)は22日、火災で体表面の9割を超える熱傷を負った同県内の5歳男児に、男児の表皮を培養して移植、成功したと発表した。ヒト細胞・組織を利用した再生医療技術による本格的移植は国内では初めてという。手術は今年8月と10月に2回行い、男児は歩ける程度まで回復した。

保険認可前 蒲郡の会社が費用

 移植した表皮は、同県蒲郡市のバイオベンチャー企業ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J−TEC)が開発した装置で培養。この装置を使った皮膚の培養は昨年、厚生労働省が承認し、今月17日に保険適用の認可を得た。

 男児は今年5月、熱傷を負い同大高度救命救急センターに運ばれた。直接移植する表皮が確保できず培養が試みられた。8平方センチの健常な皮膚を培養し、80平方センチの皮膚計60枚を移植。ほかに6回、培養以外の皮膚などを移植した。

 成人男性の場合、熱傷の面積が体表面の40%以上になると、生命の危機と言われている。これほど広い範囲の熱傷を負った患者を救命した例も世界ではまれという。治療した同大の横尾和久教授は「こうした技術を使えば、助かる患者が増えるだろう」と期待した。

 保険適用の認可前に行われたため、約1800万円の費用はJ−TECが負担した。同社の小沢洋介社長は「これを第一歩に、安全で有効な製品を提供していきたい」と話した。

(2008年12月23日 中日新聞朝刊社会面より)
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