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中日新聞掲載の大学記事

2008.12.24

夏に外堀で調査 名市大の長谷川さん

 名古屋城外堀に生息するヒメボタルが手づくりの絵本になった。描いたのは今夏にホタル数を調査した名古屋市立大芸術工学部で都市環境デザインを学ぶ長谷川和紀さん(23)=犬山市。絵本を通じて元小学教諭の安田和代さん(守山区)が「ヒメボタルの生み出す温かさ」を子どもらに伝えている。 (石屋法道)

元教諭・安田さん子どもらに読み聞かせ

 夏の調査の際、外堀で長谷川さんや安田さんに寄り添ってくる猫がいた。「ほたる」と名付けられた猫は毎夜現れたが、ヒメボタルの季節が終わるとともに姿を消してしまった−。絵本「みいちゃんとほたるとホタル」は、この体験談を基にできた。

 ヒメボタルは水がない場所にいる陸生のホタル。外堀を電車が走っていた三十年前に、名鉄職員だった故竹内重信さんが大量発生を発見。保護活動を続けた竹内さんが死去した後は安田さんや教え子らが遺志を継ぎ、今年から「名古屋城外堀ヒメボタルを受け継ぐ者たち」として活動を本格化させた。

 長谷川さんは卒業論文のため、5月10日から1カ月、ほぼ毎夜午後10時−翌日午前4時まで1時間おきに4地点のホタルを計測。そこで安田さんらと出会った。「ヒメボタルを通じて人のつながりが広がった」という。

 100メートルの範囲に最多で250匹のヒメボタルの幻想的な光がまたたいた。「調査はつらかったが、終わってしまうと寂しかった」と話す長谷川さん。安田さんの「体験が絵本になれば」との願いを快諾した。

 安田さんは中区の平和小の3年生に、歌を交えながら絵本を使ってヒメボタルの話をした。「見たい、見たい」と児童らは興味津々。安田さんは「いろんな人がヒメボタルの温かさを大切にしている」と話し、地域のクリスマス会などでも絵本を披露している。

(2008年12月24日 中日新聞朝刊市民版より)
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