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中日新聞掲載の大学記事

2014.02.20

半田市、畜産の消臭に力 大同大と連携、研究費350万円

 半田市は2014年度、住宅地にも及ぶ家畜のふん尿の臭気対策に本格的に乗り出す。大同大(名古屋市南区)と連携し、臭いの原因となる物質を特定し、効果的な消臭を目指す。当初予算案に研究事業費350万円を計上した。(山野舞子)

 半田市には牛の肥育農家が30軒ほど、鳥と豚の農家が数軒ずつある。住宅と農家が近い都市近郊型が特徴で、臭気対策は長年の課題となっている。

 これまでは市農務課が農家向けの対策に取り組んできた。ふん尿の臭いを抑える細菌をまいたり、臭いが出にくい成分を餌に混ぜたりの試行錯誤を繰り返したが、抜本的な解決には至っていない。

 13年度からは市環境課も加わり、ふん尿の臭いを一年通じて市内20カ所で測定。住宅地に及ぶ臭いの軽減策を模索し始めたが、こうした臭い対策に成功している自治体は全国でも例がなく、難航していた。

 そこで、生活空間の悪臭対策を専門で研究する大同大かおりデザイン専攻の光田恵教授や学生らと連携。既にふん尿から出る臭いの物質の分析を始めていて、14年度からはさらに官学の関係を強化する。

 市街地に届く臭いの物質を特定し、どれくらい離れた距離に、どの物質が飛んでいるかを分析。農家に負担をかけない消臭方法や、広がった臭いに対して住民が取れる対策がないかを追求する。

 臭いは天候や風向きなどによって変動が大きく、均一のデータを取るのが難しいため、臭いの測定やデータ化する方法も研究する。これにより、現状では難しい臭い軽減の効果を検証できるようにしたい考えだ。

 高額な設備や薬剤を使えば、臭いを断つことができるというが、農家も行政も負担は大きい。市環境課の間瀬直人課長は「焦点はいかに安く臭いを減らせるかだ。半田市で畜産業の振興は大切。農家に負担をかけず、住宅地と共存するための方法を探りたい」という。光田教授は「さまざまな視点で消臭方法を提案したい。近隣住民の協力も得て、観光客が訪れるまちということも意識しながら『臭い』を『香り』に変えていきたい」と話している。

(2014年2月20日 中日新聞朝刊知多版より)
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