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中日新聞掲載の大学記事

2013.07.30

名大グループ バイオ燃料のコナミドリムシ 体内時計調整仕組み発見

■タンパク質特定 増産の可能性も

 川や池に生息する緑藻の「コナミドリムシ」が体内時計を24時間に合わせる仕組みを、名古屋大遺伝子実験施設の松尾拓哉助教、石浦正寛名誉教授らのグループが突き止めた。米科学アカデミー紀要の電子版に29日、発表した。

 コナミドリムシはすりつぶして油分を取り出し、石油の代わりに使えるバイオ燃料として注目されている。松尾助教は「コナミドリムシが成長するように体内時計を操れば、バイオ燃料の生産量を増やせる可能性がある」と説明している。

 グループはこれまでに、24時間単位で生活しなくなったコナミドリムシを調査。これらの遺伝子異常を見つけることで、体内で時を刻むのに必要な遺伝子を特定した。

 体内時計は光を浴びて24時間に調整されることが知られている。グループは今回、時を刻む遺伝子からできるタンパク質に着目。光を浴びるとタンパク質が急速に減少した。

 これが合図となり、人間の体内時計が朝日を浴びると調整されるのと同じように、25時間ほどと考えられているコナミドリムシの活動周期が24時間になった。一方、このタンパク質を壊したコナミドリムシは体内時計の調整ができず、活動周期が24時間でなくなってしまった。

 石浦名誉教授は「このタンパク質が体内時計の調整をしていることは分かったが、今後はコナミドリムシがどのように光を受容し、その情報をタンパク質に伝えるのかを調べたい」と話している。

(2013年7月30日 中日新聞朝刊県内総合版より)
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