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中日新聞掲載の大学記事

2013.07.15

「いじめを感知できる学校に」 尾木ママ 中2転落死に言及 南山大で講演

 いじめ問題に詳しい「尾木ママ」こと教育評論家の尾木直樹さん(66)が14日、名古屋市昭和区の南山大で講演した。名古屋市南区で中学2年の男子生徒(13)がマンションから転落死した問題にも触れ、「いじめがあれば、すぐに感知できる学校づくりが求められる」と指摘。参加した中高生からは「いじめについてあらためて考えたい」との声が上がった。

 一昨年に大津市で起きた中学生のいじめ自殺事件では、第3者調査委員を務めた尾木さん。南区の男子生徒が死の直前に「いろんな人から死ねと言われた」などと書き残したメモの全文を読んで、「いじめを苦にした自殺の典型だと感じた」と感想を述べた。

 「忘れ物が多い自分の性格を責め、最後にはありがとうで結んでいる、本当に優しい子。だからこそ、周囲が『死ぬ勇気があるわけがない』と思うことは大きな間違いだ」

 男子生徒の担任教諭が記者会見で「死ねという言葉があいさつ代わりに使われていた」と話した点には「男子生徒が言われていたなら間違いなくいじめだが、当たり前に使われすぎていじめが『透明化』し、周りや先生が気付きにくくなっていたのではないか」と推し量った。

 講演会には、過去にいじめを経験した5人の高校生も討論役で参加した。

 司会を務めた東海学園高(名古屋市天白区)3年の山田夏帆さん(18)は加害者にも被害者にもなった経験からいじめをなくしたいと願い、尾木さんに手紙を書いて講師を依頼した。

 「尾木さんのようにいじめに関心のある大人と私たちが話を重ねることが、解決法を見つけ出す一歩になると実感した」と話す。

 聴講した愛知県豊田市の高校1年の女子生徒(16)は「クラスにいじめられている子がいる。今までは知らないふりをしていたけど、言葉をかけてあげようと思った」と話した。

■解決法 高校生とも討論 「学校以外の居場所」「相談できる人」

 尾木さんと高校生との討論では、いじめの実体験や解決法が話し合われた。

 西陵高(名古屋市西区)2年の亀山優里さん(16)は「昔、友だちが『菌』と呼ばれていたけど、自分もいじめられたくないので同調してしまったことがある」と告白。

 尾木さんは「近年のいじめでは加害者と被害者が流動的に入れ替わり、多くの人が巻き込まれていく。先生はなるべく早く感知し、いじめを止めることを何よりも優先して動くべきだ」と話した。

 自身の経験から「学校に代わる居場所」「相談できる人」「自分らしい活動」がいじめを乗り越える解決法になると提案した高校生たちを、「視野が広い」と評価した尾木さん。「秋に施行されるいじめ防止対策推進法をうまく使って、いじめのない社会をつくっていきましょう」と、会場に呼び掛けていた。

(2013年7月15日 中日新聞朝刊26面より)
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