進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て

中日新聞掲載の大学記事

2013.04.10

海女の体 実態迫る 愛大名誉教授・豊橋の山本さんと妻 鳥羽で調査、報告集に

 三重県鳥羽市内で海女の体力や生活習慣の調査をした豊橋市王ケ崎町上原、愛知大名誉教授の山本茂紀さん(72)と元愛知大非常勤講師の和子さん(67)夫婦が、「海女の町調査報告集」をまとめ、鳥羽市に150冊を寄贈した。(片山健生)

 「野外運動学」が専門の山本さん夫婦は2006年から、鳥羽市内の石鏡(いじか)、国崎(くざき)、相差(おうさつ)の3町を対象に調査を開始。12年までに100回以上訪れて、海女への聞き取りや健康測定で実態に迫った。

 その結果、海女は保温効果がある皮下脂肪が多い一方、エネルギー消費が激しいため内臓脂肪は少ない傾向と判明。耳抜きをする代わりに耳栓を使うため鼓膜を傷めやすく、難聴気味の人が比較的多いことも分かった。報告集(A4判、108ページ)は、そうした調査結果のほか、海女の風習や素潜り漁の様子を写真約500枚を使って分かりやすく紹介している。

 鳥羽市役所で木田久主一市長に報告集を手渡した山本さん夫婦は「鳥羽の子どもたちが報告集で地元の海や漁業に関心を持ち、海女の後継者問題についても考えるきっかけになれば」と話していた。鳥羽市は、報告集を市立図書館や小中学校に置くという。

(2013年4月10日 中日新聞朝刊東三河総合版より)
  • X

戻る < 一覧に戻る > 次へ