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2013.03.08
愛知大学野球2部リーグ 名大に最速152キロ右腕 愛知・知立東高出身の新3年生 七原
愛知大学野球2部リーグの名大に、最速152キロの剛球右腕が現れた。愛知・知立東高出身で、今春は新3年生となる七原(ななはら)優介投手だ。地元中日などプロのスカウトからもマークされる逸材。昨秋はリーグ最下部の3部にいた名大は入れ替え戦を突破して今春は2部に昇格し、私学の有力チームと対戦する。4月の開幕を控え、国立の星が剛速球に磨きをかける。
■文武両道のスゴいやつ 地元・中日のスカウトも注目
文武両道のスゴいやつである。180センチ、79キロと体格にも恵まれた七原は名大を引っ張るエース兼4番打者。愛知大学リーグではピカイチの剛球王は、プロのスカウトも注目する存在となった。「タマの速さが魅力だね。追いかけていきたい選手」と中日・水谷スカウト。愛知東邦大を相手にした昨秋の2、3部リーグ入れ替え戦(瑞穂)では、アッと驚く最速152キロをマークした。愛知の1部リーグでも、これほどのスピードがある投手はいない。
新3年生となる今春は2部リーグとステージを上げての戦い。七原は「強いチームが相手になるのは楽しみ。高校の時から強いところと試合をすることなかったから」とやる気に火が付いた。
中央球界には無名の公立校出身だが、知立東高時代は関係者の間でウワサの速球派投手だった。当時はMAX142キロのストレートを投げたが、最後の夏の愛知大会は3回戦で敗退。高校野球の監督を将来の選択肢の一つにしたいと、名大の教育学部に進んだ。難関の国立大学に現役で合格した秀才クンだが、「高校は文系でしたが、数学とか理系科目が得意。受験勉強はガリガリやった方でなかった」と余裕の口ぶり。もうひと頑張りすれば、東大に手が届いた?と聞かれると、「それはちょっと無理。実はセンター試験利用入試で明大にも受かっていたが、ボクは東京六大学じゃなく、名大でよかったです」と笑った。
大学で体幹を鍛えたところ、球速は驚くほどアップ。昨秋は145キロ前後をコンスタントにマークするまでに育った。体にバネがあり、投げる際に「右足が跳ね上がるのが調子を測るバロメーター」だという。
剛腕としてプロ側から注目されてきたことには「それ(プロ入り)は現実味がないので・・・。社会人野球には興味を持ち掛けたところ。教職免許(社会科)は取るが、野球は見るよりやる方が好きだから」とニヤリ。名大・真野恭一監督(53)は「自分の考えをしっかり持っている選手」と評したが、野球の欲が出てきたところだろう。
登板しない試合は指名打者(DH)で出場し、昨季は下部リーグではあるが打率3割4分ほどを記録した。日本ハムの黄金ルーキー・大谷が目指す“投打二刀流”の大学野球版。七原がつける背番号「11」はくしくも同じである。「DH制っていいですね。打つのは楽しいから」と七原。投打の大黒柱として、国立の星がフル稼働する。(阿知波浩二)
■今季初登板は3者凡退
七原は今月1日に愛工大相手の練習試合で“今季初登板”。「4番・指名打者」だったが、8回の1イニングだけ救援で投げて、打者を三者凡退させた。ブルペン投球では、対戦相手が用意したスピードガンで144キロをマーク。「まだ寒いのに、この球速はスゴい」と愛工大の奥田監督。実は1月中旬に左膝の半月板を痛めたことから、調整は遅れ気味。今月5日から5日間の日程で、静岡県掛川市の大東北球場で春季キャンプ中だが、ここからフォームを固めていく。スライダー、カーブ、フォークと変化球はあるが、肩に負担がかからないツーシームの向上に力を注いでいる。
■捕手から転向は浅尾と同じ
小、中学と捕手一筋だった七原は高校に入り、1年夏に投手転向。知立東高は部員数が少なかったため、地肩の強さを買われてマウンドに立つことになった。中日の救援陣では浅尾が常滑北高で、田島が中部大第一高でそれぞれ捕手を務めた経験があるから、よく似たコースを歩んでいる。「チーム事情で投手になったが、いまから思えばよかった」と七原は振り返る。
■名大の戦力
七原に次ぐ投手は左腕・森川。こちらは球速120キロ台ながら、投球テクニックに優れる。大垣商時代は春季東海大会で優勝投手に輝いた経験がある。捕手の近藤庸はキャッチングでは成長の跡を見せており七原の剛速球をしっかり捕れるようになった。攻撃陣はやや非力で各カードの1回戦では投手、2回戦で指名打者で出場する七原のパンチ力に期待が懸かる。
▼七原優介(ななはら・ゆうすけ) 1992(平成4)年7月23日、愛知県刈谷市生まれの20歳。180センチ、79キロ、右投げ右打ち。小垣江(おがきえ)小2年から軟式の「小垣江ファイターズ」で野球を始めた。依佐美中では軟式野球部で捕手。知立東高には捕手として入部したが、1年夏から投手転向。2年秋から主戦となったが、最後の夏の愛知大会は3回戦で成章に惜敗。大学では1年春からベンチ入り。プロ野球で好きな投手は昨季は沢村賞を獲得したソフトバンクの摂津。弟・良平さん(18)は知立東高野球部で昨夏の愛知大会に「5番・左翼手」で出場した。
(2013年3月8日 中日スポーツ10面より)
■文武両道のスゴいやつ 地元・中日のスカウトも注目
文武両道のスゴいやつである。180センチ、79キロと体格にも恵まれた七原は名大を引っ張るエース兼4番打者。愛知大学リーグではピカイチの剛球王は、プロのスカウトも注目する存在となった。「タマの速さが魅力だね。追いかけていきたい選手」と中日・水谷スカウト。愛知東邦大を相手にした昨秋の2、3部リーグ入れ替え戦(瑞穂)では、アッと驚く最速152キロをマークした。愛知の1部リーグでも、これほどのスピードがある投手はいない。
新3年生となる今春は2部リーグとステージを上げての戦い。七原は「強いチームが相手になるのは楽しみ。高校の時から強いところと試合をすることなかったから」とやる気に火が付いた。
中央球界には無名の公立校出身だが、知立東高時代は関係者の間でウワサの速球派投手だった。当時はMAX142キロのストレートを投げたが、最後の夏の愛知大会は3回戦で敗退。高校野球の監督を将来の選択肢の一つにしたいと、名大の教育学部に進んだ。難関の国立大学に現役で合格した秀才クンだが、「高校は文系でしたが、数学とか理系科目が得意。受験勉強はガリガリやった方でなかった」と余裕の口ぶり。もうひと頑張りすれば、東大に手が届いた?と聞かれると、「それはちょっと無理。実はセンター試験利用入試で明大にも受かっていたが、ボクは東京六大学じゃなく、名大でよかったです」と笑った。
大学で体幹を鍛えたところ、球速は驚くほどアップ。昨秋は145キロ前後をコンスタントにマークするまでに育った。体にバネがあり、投げる際に「右足が跳ね上がるのが調子を測るバロメーター」だという。
剛腕としてプロ側から注目されてきたことには「それ(プロ入り)は現実味がないので・・・。社会人野球には興味を持ち掛けたところ。教職免許(社会科)は取るが、野球は見るよりやる方が好きだから」とニヤリ。名大・真野恭一監督(53)は「自分の考えをしっかり持っている選手」と評したが、野球の欲が出てきたところだろう。
登板しない試合は指名打者(DH)で出場し、昨季は下部リーグではあるが打率3割4分ほどを記録した。日本ハムの黄金ルーキー・大谷が目指す“投打二刀流”の大学野球版。七原がつける背番号「11」はくしくも同じである。「DH制っていいですね。打つのは楽しいから」と七原。投打の大黒柱として、国立の星がフル稼働する。(阿知波浩二)
■今季初登板は3者凡退
七原は今月1日に愛工大相手の練習試合で“今季初登板”。「4番・指名打者」だったが、8回の1イニングだけ救援で投げて、打者を三者凡退させた。ブルペン投球では、対戦相手が用意したスピードガンで144キロをマーク。「まだ寒いのに、この球速はスゴい」と愛工大の奥田監督。実は1月中旬に左膝の半月板を痛めたことから、調整は遅れ気味。今月5日から5日間の日程で、静岡県掛川市の大東北球場で春季キャンプ中だが、ここからフォームを固めていく。スライダー、カーブ、フォークと変化球はあるが、肩に負担がかからないツーシームの向上に力を注いでいる。
■捕手から転向は浅尾と同じ
小、中学と捕手一筋だった七原は高校に入り、1年夏に投手転向。知立東高は部員数が少なかったため、地肩の強さを買われてマウンドに立つことになった。中日の救援陣では浅尾が常滑北高で、田島が中部大第一高でそれぞれ捕手を務めた経験があるから、よく似たコースを歩んでいる。「チーム事情で投手になったが、いまから思えばよかった」と七原は振り返る。
■名大の戦力
七原に次ぐ投手は左腕・森川。こちらは球速120キロ台ながら、投球テクニックに優れる。大垣商時代は春季東海大会で優勝投手に輝いた経験がある。捕手の近藤庸はキャッチングでは成長の跡を見せており七原の剛速球をしっかり捕れるようになった。攻撃陣はやや非力で各カードの1回戦では投手、2回戦で指名打者で出場する七原のパンチ力に期待が懸かる。
▼七原優介(ななはら・ゆうすけ) 1992(平成4)年7月23日、愛知県刈谷市生まれの20歳。180センチ、79キロ、右投げ右打ち。小垣江(おがきえ)小2年から軟式の「小垣江ファイターズ」で野球を始めた。依佐美中では軟式野球部で捕手。知立東高には捕手として入部したが、1年夏から投手転向。2年秋から主戦となったが、最後の夏の愛知大会は3回戦で成章に惜敗。大学では1年春からベンチ入り。プロ野球で好きな投手は昨季は沢村賞を獲得したソフトバンクの摂津。弟・良平さん(18)は知立東高野球部で昨夏の愛知大会に「5番・左翼手」で出場した。
(2013年3月8日 中日スポーツ10面より)