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中日新聞掲載の大学記事

2013.01.17

「デジタルアース」中部大で研究進む 地図に情報重ね分析 災害時 適切策探る

■春日井 国内唯一の専門拠点設置

 広域災害や地球温暖化などの分野で、複雑なデータを地図上に地理情報として重ね合わせて分析する「デジタルアース」の研究を、春日井市の中部大が進めている。昨年12月に国内唯一の専門研究拠点を設置。大規模地震の際の避難誘導に役立てるなど、災害時の情報発信への応用が期待されている。 (蓮野亜耶)

 中部大は一昨年4月、学内に国際GIS(地理情報システム)センターを設立した。研究が2012年度の文部科学省の支援事業に選ばれたのを受けて、昨年12月に同センターを核に専門研究拠点となる「知の統合基盤デジタルアース研究センター」を発足させた。同15日には専門の研究者ら130人を招いたシンポジウムも開いた。

 センターでは、衛星写真や、360度画像を撮影できる情報収集車、ツイッターなどの情報を240インチの大型ディスプレーに組み合わせて表示し、情報を総合的に分析する。今後は、東海・東南海・南海の三連動地震や、地球温暖化を主要テーマに研究を進める。

 研究センター長の福井弘道教授(55)は「大規模地震が起きた際、どこの道路が寸断されているかなどツイッターでのやりとりを政府が発表する情報などと統合できれば、即時に避難や物資の配給で的確な対応策を打ち出せる」と指摘する。

 災害で崖など崩落の危険がある場所の情報を道路地図と重ねることで、道路を通って救助に行くべきか、ヘリコプターを使った方がいいかなど、救助方法を選ぶときなどにも有効という。

 福井教授は「将来的には、デジタルアースの研究を生かして大学が災害時の危機管理センターとなり、市民に情報を発信できるようにしたい」と話している。

デジタルアース 地上を俯瞰(ふかん)する衛星写真や地図にさまざまな情報を重ね合わせ、環境保全や大規模災害などの問題の全体像を分かりやすく提示、適切な対応策を検討する手法のこと。ノーベル平和賞を受賞したゴア元米副大統領が1998年に提唱した。

(2013年1月17日 中日新聞朝刊愛知総合版より)

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