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中日新聞掲載の大学記事

2012.10.13

一宮、岩倉発 バンド準GP 若手ミュージシャン登竜門の全国大会

■「Half moon spiral」 楽曲、演奏力高い評価

 一宮市の高校生らの3人組バンドが、若手ミュージシャンの登竜門とされる全国コンテストで準グランプリに輝いた。出場1万組の中からつかんだ栄冠。「みんなが名前を知っているバンドになりたい」。メンバーは意欲を燃やす。(三輪喜人)

 バンド名は「Half moon spiral(ハーフ・ムーン・スパイラル)」。岩倉総合高3年の日置逸人(はやと)君(18)=一宮市西大海道=がボーカルとギターを務め、ベースは愛知淑徳大1年の武藤克太君(19)=同市祐久、ドラムの岩倉総合高3年、山崎大輝君(17)=岩倉市石仏町=がコーラスも歌うJ−POPバンド。日置君の柔らかな歌声と、独特の浮遊感のあるメロディーからラブソングが紡ぎ出されていく。

 10月上旬、岩倉市生涯学習センターのスタジオ。次のライブに向け、練習に励む3人の姿があった。毎月、名古屋市内のライブハウスに出演し、関西地方にも遠征する。

 バンドは高校の同級生の日置君と山崎君らが2010年春に結成。夏にベース担当のメンバーが脱退し、ライブハウスで知り合った武藤君が加わった。幼いころからピアノを習っていた日置君が作詞作曲している。

 3人が出場したコンテストは、4年前から大手音楽会社などが主催する「閃光(せんこう)ライオット」。参加は10代限定で、「Galileo Galilei(ガリレオ・ガリレイ)」など受賞後にメジャーデビューを果たしたバンドも多い。

 3人もコンテストを目標に、曲作りや演奏を磨いてきた。昨年に続く挑戦。今年春にデモテープを送り、ライブ演奏を含む3回の予選を通過。決勝の9組に勝ち残った。

 決勝は9月2日、東京の日比谷野外大音楽堂。観客は3000人。「顔が見えないくらい満員だった」と武藤君。しかし、思わぬハプニングが待っていた。

 大事な1曲目。日置君がギターを鳴らすと3人に違和感が広がった。ギターの音調整に失敗。本来の音が出ず2曲目の前に直したが、日置君は「こんな大舞台で・・・」と自らのミスを責めた。

 2曲目は過去最高の出来で、山崎君が「完璧だった」と振り返る。だが、3人はミスを悔い、結果発表の時も「早く機材を片付けて帰りたい」と思うばかりだった。

 楽曲のレベルの高さや演奏力、将来性が評価されて準グランプリ。名前を呼ばれても信じられなかった。「賞を取った名古屋のバンドはいなかった」。そう思うと涙が流れた。

 目標は実力を磨き、再び日比谷野音のステージに立つこと。「今度は、ぼくたちだけを見に来た観客で会場を埋めたい」。若い3人は夢を抱く。

(2012年10月13日 中日新聞朝刊尾張版より)
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