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中日新聞掲載の大学記事

2008.08.15

愛大・佐藤新学長に聞く 『第2の建学・創学』で臨むグローバル時代

 愛知大(本部・豊橋市)の新学長に2日付で就任した佐藤元彦教授(49)。2012年の名古屋市笹島地区でのキャンパス開設や、今年2月に長野県のスキー場での合宿中に起きた雪崩事故への対応など課題は山積している。故堀彰三前学長の辞職に伴い、急きょ百年以上の歴史を持つ大学を背負う立場となった佐藤新学長に今後の対応と、将来のビジョンを尋ねた。(聞き手・安田功)

 −抱負を。

 堀前学長は「選ばれる大学」という言葉を盛んに使っていた。少子化時代で志願者数減少の懸念は高い。前学長の方向性を引き継ぎ、地域づくりなどを通じて、学生や社会から注目される大学づくりを目指す。前身の東亜同文書院(中国・上海)から含めた百年以上の伝統に頼るだけではなく、「第2の建学・創学」の気持ちで臨むことが大切だ。

 −名古屋校舎での構想は。

 学生を集める建物を造るだけではない。現在、豊橋校舎が中山間地域で進めている地域のまちづくりを支援する事業も行う。学内には都市計画の専門家もいる。周辺企業とも連携しながら、名古屋市に貢献したい。

 −移転で影響を受ける豊橋市と三好町の校舎への対応は。

 豊橋校舎に新設する文理融合型の新学部については、行政や財界、理系志望の高校生らから意見を聞き、あるべき姿を探っている最中。現時点で「食」「農」をキーワードに考えている。三好は全面撤退になるので、町にとって大きなマイナスにならないよう配慮する。

 −雪崩事故による信頼回復の道は。

 全く取り返しのつかない事故で申し訳ない。2人の遺族と補償の話をしている。信頼を取り戻すために、再発防止につなげなければならず、現在、学外で行われている授業の見直しを進めている。恒常的な安全体制づくりと危機管理を行う組織も近く新設する。

 −大学の未来像は。

 愛知大の名前は地域に浸透し、数多くの人材の輩出をしているが、現在の社会的評価には満足していない。大学は教学や研究だけでなく、社会貢献も重要。学外で地域住民らと汗を流すことで社会的な評価を得たい。グローバル時代で国際的競争力を身に付けることも重要だ。さらに大学間競争の中、すべての大学が疲弊することは地域のためにならない。他大学との連携も視野に入れたい。

 さとう・もとひこ 慶応義塾大経済学部卒、広島大大学院地域研究研究科修士課程修了。1990年に愛大経済学部講師となり、2002年に同学部教授。経済学部長や副学長などを歴任した。専門は国際開発論。

(2008年8月15日 中日新聞朝刊県内版26面より)
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