進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て

中日新聞掲載の大学記事

2012.06.26

拓本で中国古代の書体変遷をたどる 元愛院大教授の収集品 春日井で展示

 中国古代の著名な碑文の拓本から書体の変遷をたどる展覧会が7月16日まで、春日井市松河戸町の市道風記念館で開かれている。一般100円、高校・大学生50円、中学生以下無料で、月曜休館(祝日を除く)。

 展示するのは、書家で元愛知学院大教授の高木大宇(だいう)さん(81)=岩倉市新柳町=から昨年秋に寄贈を受けたコレクション。「学生に本物を見せたい」と教材用に40年がかりで収集したという200点のうち、第1弾として周から後漢までの49点を紹介する。

 木簡や竹簡に文字が書かれていた時代で、漢字の最も古い書体の篆書(てんしょ)から、秦の時代に篆書を簡略化して作られた隷書、漢の時代に横画の右払いが装飾的になっていくまでの流れが一目瞭然だ。「教科書には一部しか掲載されないが、拓本なら全体像が把握できる」と高木さん。

 注目は、後漢時代に陝西(せんせい)省で道路開通記念に岸壁にじかに彫られた「開通褒斜道(ほうやどう)刻石」。1字が20センチ近くあり、岩肌のごつごつとした質感が写し取られた中に「素朴で力強い隷書」(落合哲館長)が浮き上がっている。

 西周の時代に周王が戦いの勝利者に授けた名器「●季子白盤(かくきしはくばん)」の銘文や、秦の始皇帝が建てた碑の拓本もある。(問)道風記念館=電0568(82)6110

 (谷知佳)

(注)●は妥の旧字体の女が寸、右に虎

(2012年6月26日 中日新聞朝刊市民総合版より)

戻る < 一覧に戻る > 次へ