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中日新聞掲載の大学記事

2012.06.09

お肌の“敵”メラニン 鍵はタンパク質 しみ生成の仕組み解明 メナード・藤田保健衛生大

 肌のしみを生むメラニンの生成を特定のタンパク質が促す仕組みを、日本メナード化粧品(名古屋市)が藤田保健衛生大医学部(愛知県豊明市)との共同研究で突き止めた。中年以上の女性を悩ます老人性色素斑など、色素異常症を防ぐ製薬開発に役立つと期待されている。13〜16日に横浜市で開かれる国際幹細胞学会で発表する。

 タンパク質は細胞を活性化させる「ウイント」。研究グループが実験用マウスに紫外線を継続的に当てたところ、表皮内のウイントの分泌が著しく増え、毛穴の中にある幹細胞を刺激。幹細胞から分化する色素細胞(メラノサイト)が表皮に移ってメラニンとなる能力を高めさせていた。幹細胞は自ら増殖するため、ウイントの刺激が続く間、メラニンも増えるという。

 紫外線照射を止めると、しみがいったん抜けた後、老人性色素斑に特有の黒ずんだしみが見られた。研究チームは紫外線による影響が蓄積されることで、しみができるサイクルが定着するとみている。皮膚の色が抜ける尋常性白斑の場合はウイントが分泌されない可能性があるという。

 また、美白化粧品にも使われるワカメ「アラリア海藻」が、メラニンの過剰生成を抑えることも分かった。

 老人性色素斑などの治療は現在、自己の皮膚を移植するか、レーザーで患部を焼く手法が多い。メナード総合研究所の長谷川靖司主任研究員は「飲み薬や塗り薬を開発できれば、患者の負担を減らせる」と話している。

(2012年6月9日 中日新聞朝刊地域経済面より)

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