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中日新聞掲載の大学記事

2012.06.02

就活大学生 進む二極化 12月解禁影響 県内も

■「準備期間短い のんびり目立つ」

 県内でも大学生の就職活動が本格化する中、早々に複数の企業から内定を得る学生と、内定がない学生との二極化が進んでいる。大手企業の説明会などの開始が2カ月遅い「12月解禁」となったことで、十分に準備をして臨んだ学生と、そうでない学生に差が生まれ、その傾向が進んでいるとの指摘も出ている。(宿谷紀子)

 厚生労働省三重労働局が5月30日、津市内で大学、県経営者協会などの関係者と、就活の対策を話し合った。その席上、関係者から二極化への懸念が示された。

 会合に出席した三重中京大の大森達也教授によると、複数の内定を得る学生はインターンシップ(就業体験)に参加するなど企業研究を重ね、周到に準備している場合が多い。「12月からでは、企業研究や自己分析の時間が足りない。消極的な学生が取り残されてしまう」と指摘する。

 就活をめぐっては、経団連が長期化を是正するため、説明会やセミナーなど「広報活動」の開始を12月以降と決め、昨年から運用。以前から就活期間は実質的に短くなり、学生が学業に打ち込める時間を確保できる利点があるが、大学の就職担当者は不安を口にする。

 三重大(津市)の担当者は「12月までのんびり過ごす学生が目立つ。準備が足りず、就職試験を前に個別相談や模擬面接を求める学生が例年より多かった」と振り返る。一方で、「職種や目標を早く定めて複数の内定をもらった学生もいる」と言い、例年は12月から始める就職支援を10月に前倒しすることも検討している。

 鈴鹿国際大(鈴鹿市)の担当者は「学生の動き出しが遅くなった」、皇学館大(伊勢市)の担当者は「準備期間が短いため、説明会をじっくり回って会社を決めようと考える学生には痛手だ」と危機感を募らせる。

 大手就職情報サイト「リクナビ」の岡崎仁美編集長は「二極化の傾向はこれまでもあったが、今年はさらに加速する可能性がある。これから採用が始まる中小企業も多いので、焦らずにさまざまな業種の企業を見て、自分の適性を判断してほしい」と話している。

(2012年6月2日 中日新聞朝刊三重版より)

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