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中日新聞掲載の大学記事

2012.05.18

被子植物受精 2度チャンス 名大グループが発表

■農作物へ応用に期待

 被子植物は雌しべの卵細胞が1度受精に失敗しても2度目を試みることを、名古屋大大学院理学研究科の笠原竜四郎研究員らのグループが、シロイヌナズナを使った研究で突き止めた。これまでは1度失敗すると受精しないと考えられていた。米科学誌「カレント・バイオロジー」の電子版に17日、発表した。

 笠原研究員は「複数回にわたって受精を試みる植物の能力を応用すれば、受精できる機会を増やして今よりも高い確率で種子をつけさせられる。農作物などの収穫量増加につながる可能性がある」と話している。

 グループは、精細胞を含んでいる花粉の半分が異常で受精できないシロイヌナズナを準備。受精の試みが1度だけならば種子ができる確率は50%になるはずだが、実際には65〜70%に上る点に着目した。花粉が正常でないため受精に失敗した後の卵細胞を観察。すると、1度目とは別の花粉が再び精細胞を卵細胞まで運び受精が試みられていた。

 受精の際には、卵細胞の隣にある助細胞が精細胞を助ける働きをしている。助細胞は卵細胞1個につき2個あるが、精細胞を助けるたびに1個ずつつぶれることを確認。2回助けると助細胞がなくなってしまうため3度目の試みはなく、受精の機会は2度に限られていることも分かった。

(2012年5月18日 中日新聞朝刊3面より)

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