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中日新聞掲載の大学記事

2008.07.29

「細胞医療」で名大が申請へ 企業と連携、機器開発

 細胞を培養して骨や血管を再生する「細胞医療」の実用化を支える医療機器を開発するため、名古屋大を中心とするグループが8月にも、政府が新設した「先端医療開発特区」に申請する。

 「革新的な医療機器の開発」は新設特区の一分野。細胞医療において名大は実績があり、採択が有力視されている。名大は「モノづくりが盛んな地域特性を生かしたい」として、特区を活用して地元企業との連携を図り、医療機器を開発すると同時に、細胞医療の実用化を目指す。

 細胞医療は、患者の体から特定の細胞を採って培養し、患部に移植する技術。名大では口腔(こうくう)外科学の上田実教授が、皮膚組織再生の実用化に成功。弱くなった軟骨や血管の再生についても整形外科学の石黒直樹教授、循環器内科学の室原豊明教授らが研究している。

 薬事法は未知の感染被害を防ぐために、培養した細胞の利用に厳しい審査を課しているが、特区になれば審査が迅速化する。どの分野で特区申請するかについて名大は、東海地方に機械工学に強い研究機関や企業が多いことに注目。学内の遺伝子・再生医療センターを拠点に、地域の企業や他大学、産業技術総合研究所など約20団体とグループの連携を進める。

 名大付属病院の松尾清一院長(57)は「世界との競争には規制があっては勝てない。特区に選ばれれば、細胞医療の最先端技術を早く実用化でき、国民のためになる」と話す。

(2008年7月29日 中日新聞朝刊1面より)
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