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中日新聞掲載の大学記事

2012.03.04

名大病院に闘病の子の付き添い用宿泊施設 募金委が発足

■鶴舞キャンパスでイベント 母親ら協力呼び掛け

 長期間の治療が必要な子どもとその家族のため、名古屋大などが同大病院内に来年夏の完成を目指す宿泊施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」の建設費用を募る募金委員会が3日、発足した。名古屋市昭和区の名大鶴舞キャンパスであったイベントでは、難病の子どもを持つ母親らが体験を語り募金を呼び掛けた。 (柚木まり)

 イベントには、松尾清一名大病院長や募金活動に取り組むサークル「おうちプロジェクト」の学生らが出席。女優の竹下景子さんのビデオメッセージもあった。

 東京都羽村市の主婦渡辺敏子さん(38)は、血液が作られなくなる難病「再生不良性貧血」を発症した息子の建生(けんせい)君(8つ)の闘病生活を振り返った。

 建生君は2006年春、暮らしていたシンガポールで病気が判明。治療ができる専門医はシンガポールにはおらず、名大病院の小島勢二小児科長の治療を受けるため、同年冬に帰国した。

 治療のため、渡辺さんはホテルに滞在、シンガポールで暮らす夫の渡航費も加わり経済的な負担は膨らんだ。病室で寝泊まりすることも多く、食事はコンビニ弁当ばかり。「プライバシーもなく、精神的にも身体的にもつらかった」と、施設の必要性を訴えた。

 建生君は07年、骨髄移植をし、08年に病気は完治した。

 松尾病院長は「日本は医療も発達し、病院施設も大きくなったが、患者や家族の療養環境は海外と比べかなり遅れている。病気の治療そのものに非常に影響する問題で、良い施設を造りたい」と話した。

 建設費3億円のうち、2億円を目標に寄付を募っている。寄付に関する問い合わせは募金委員会=電052(744)2775=へ。 

(2012年3月4日 中日新聞朝刊県内総合版より)
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