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中日新聞掲載の大学記事

2011.10.05

愛知・東海学園大の149キロ右腕 田島 故障癒えた ドラフト指名可能性大

 愛知大学野球2部リーグに所属する東海学園大の田島慎二投手(4年)が今月27日のドラフト会議で指名される可能性が大きくなってきた。最速149キロの剛球投手は肩の故障が治って最後の秋はリリーフ専門で戦列復帰。プロ側の評価は再上昇してきた。阪神が獲得に向けて、最も熱心だ。 (阿知波浩二)

 胸板が分厚く、おしりもデッカイ。181センチ、84キロのたくましい体から放たれる剛速球が、田島の1番の魅力だ。最速は149キロ。昨秋の愛知大学野球2部リーグの中京大戦でマークした。

 「体つきも、球筋も阪神の久保田に似たタイプだね。上体の力で投げるパワーピッチャーだけど、掘り出し物になるかも…」とヤクルト・鳥原チーフスカウト。プロではセットアッパー向きの右腕。今春の2部開幕戦で愛産大を完封した時はその力強い速球にプロ側の評価が跳ね上がったのだが、肩の故障で戦列離脱。春は計3試合に登板しただけに終わり、プロへの道は遠のきかけた。

 しかし、最後の秋になって救援専門で復調。6試合で計10イニングを無失点。その評判を聞き付けて、2日の日本福祉大2回戦には、中日は中田スカウト部長、早川チーフスカウト、中原スカウトが駆けつけ、ヤクルト、阪神、横浜、ソフトバンク、オリックス、楽天と合わせて計7球団14人のスカウトが集まった。しかも、中日を含めて5球団が部長、チーフ級のスカウトによる視察。中でも、阪神が獲得に向けて“本気モード”なのだ。

 その日最速147キロを計測した試合後「うれしかったけど、力んじゃいました」と田島は苦笑した。社会人のJR東海への就職が内定しているが、同社の了承を得て先月にプロ志望届を提出したところ巨人、広島などが早速、東海学園大側に調査書を求めてきた。

 中部大第一高時代は2年の夏まで捕手で、投手経験は浅い。「ボクは高校、大学を通じて、投手専門のコーチに教えてもらったことがない。だから、我流投げ。フィジカル面も含めて、プロの世界で指導を受ければ、まだ伸びると自分で信じている」と田島。ドラフト指名されれば、プロ入りする決意だ。

■浅尾に続く!2部リーグ、剛速球、捕手出身…多い共通点

 中日の浅尾も常滑北高(愛知)ではキャッチャーで、愛知大学2部リーグ育ち。田島とは共通項が幾つもある。「投球フォームで後ろとなるテークバックが小さい投げ方は浅尾と似ている」と中日・中田スカウト部長。昨春は右肘を痛めるなど、故障を繰り返したこともあって、連投に耐えうる右腕なのかがプロ側には気になるが、評価は再上昇へ。中央球界では無名の剛腕が、ドラフトに向けて注目の人となる。

▼田島慎二(たじま・しんじ) 1989(平成元)年12月21日、名古屋市瑞穂区生まれの21歳。181センチ、84キロ、右投げ右打ち。御幸山中時代は軟式の「瑞穂ブルーウイングス」に所属。中部大第一高では2年秋に捕手から主戦投手へ。最後の夏の愛知大会は準決勝で伊藤隼太外野手(現慶大)が主砲だった中京大中京に敗れた。東海学園大では2年春に1シーズンだけ愛知1部リーグを経験して2勝をマーク。2部リーグを合わせてリーグ戦通算10勝。

■渕上は強肩遊撃手 日本福祉大には野手の逸材

 愛知大学野球2部リーグには、野手の逸材もいる。中日・浅尾の母校、日本福祉大の渕上大地遊撃手(4年)だ。181センチ、74キロと上背に恵まれ、柔らかいハンドリングの守りが光る。遠投110メートルの強肩の持ち主でもある。

 地元中日は早くからチェックしていた。中田スカウト部長が「守備力は申し分ない。体格はいいのだから、打つ方でもう少し力がつけば」と評したように、打撃に課題がある。熊本・球磨(くま)工出身で、入学した年の秋からレギュラー。今春は4番を任されたが、最後の秋は下位を打っている。社会人の強豪・三菱重工広島に就職が内定しているが、中日は大学卒業後もマークする。

 母校には毎年正月に浅尾が姿を見せ、渕上にも偉大な先輩と触れ合う場があった。「プロの中で1番怖い打者は?って尋ねたら『金本さん(阪神)です』と答えてくれたが、スターのオーラがあった」。将来は浅尾と同じ舞台に立つ日を夢見る。

(2011年10月5日 中日スポーツ12面より)
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