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中日新聞掲載の大学記事

2011.02.02

薬・工学研究で大学院 名市大、名工大共同設立へ

 薬学部を持つ名古屋市立大と、国立名古屋工業大は、薬学と工学の研究を一体的に進める共同大学院を2013年度にも新設することを決めた。薬工連携の共同大学院は全国初。がんや糖尿病の新薬開発、効果的な治療法の研究が進むことが期待される。

 新大学院の名称は「共同創薬マテリアル科学専攻(仮称)」。名市大によると、キャンパスは名古屋市昭和区の名工大と同市瑞穂区の名市大薬学部の両方活用。1学年20人規模で修士の学位は両大学連名で授与する。

 12年6月に文部科学省に設置を申請。2年間の修士課程を設け、15年度にも博士課程を増設する方針。薬学分野で求められる工学知識を持つ研究者を養成する。工学研究者が薬品や食品、化粧品分野に参入するきっかけにもなる。

 工学の技術を生かして10億分の1(ナノ)メートル単位の極小粒子を作って、がん細胞など特定の部位に電気や磁力で薬を誘導し副作用を減らしたり、これまで無理だった体内組織に薬品を入り込ませるなど、工学と薬学が融合した研究に取り組む。

 名市大は医学部や付属病院があり、研究が臨床に結びつきやすい利点も。両大学は07年12月に連携協定を締結し、創薬研究で協力を続けてきた。

 名市大の水上元・薬学研究科長は「欧米より遅れている薬学の飛躍につなげたい。アルツハイマーやがん、糖尿病などの特効薬が開発されると期待している」と話した。名工大の増田秀樹副学長は「工学、薬学の融合で新しい科学をつくっていきたい」と話している。

■共同大学院
 大学院が共同で教育プログラムを実施する制度。中央教育審議会の答申を受け、人材の効率的な活用や国際的な大学間競争に勝ち抜く目的で文科省が2008年に創設した。名称には冒頭に「共同」を付け、「共同○○専攻」とすることになっている。全国で新設の動きが広がっている。

(2011年2月2日 中日新聞朝刊1面より)
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