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お知らせ  2025.10.27

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藤田医大 臓器あっせん法人 来月 移植増へJOT負担減

 藤田医科大(愛知県豊明市)などは、臓器移植において日本臓器移植ネットワーク(JOT)が国内で唯一行っている臓器あっせん業務の一部を担う一般社団法人を、11月に設立する。厚生労働省が進める移植医療体制の改革の一環で、脳死下や心停止後の臓器提供者(ドナー)の家族への説明や同意を得る業務などを行う。JOTの負担を軽減し、臓器移植の拡大を進める狙い。あっせん業が厚労相に許可されれば、全国で初となる。

 新法人は、一般社団法人「中部日本臓器提供支援協会(CODA)」。中部7県(愛知、三重、岐阜、静岡、福井、富山、石川)で臓器提供を希望する患者がいた場合に職員を派遣する。藤田医大を中心に各地の病院や移植推進団体などでつくる。移植患者の登録やドナーが出た場合に移植を受ける患者(レシピエント)の選択などは従来通り、JOTが担う。

 日本の臓器提供数は、臓器移植法が改正された2010年には113件だったが、24年は138件となるなど増加傾向にある。ただ、米国や欧州と比較すると50分の1程度にとどまる。

 1997年に発足したJOTは現在、心臓や肺などの臓器をあっせんする国内唯一の機関。ドナーとなる可能性がある患者家族への情報提供や同意の取得、移植を受ける患者の選定、臓器搬送の調整など多岐にわたる業務を担っている。一方で、提供数の増加に伴って業務が集中し、人員不足による対応の遅れなども指摘されてきた。

 厚労省は昨年12月、JOTの業務を分割し、あっせん機関を複数にして地域ごとに置くことなどを盛り込んだ改革案をまとめた。今年9月には業務を担う法人の公募をスタート。藤田医大は移植医療支援室を持つ臓器移植の拠点施設であり実績も豊富なことから法人の設立を決めたという。

 藤田医大を運営する藤田学園の星長清隆理事長は「移植を待っている人たちの苦しみを何とかするのが、われわれの使命だ」と強調。剣持敬(たかし)特命教授は、「今後さらに移植手術が増えることを考慮すると、現在のJOTの態勢では負担が大きすぎる。地域の事情に詳しく、機動力も発揮できるため、法人設立は合理的でメリットが大きい」と話した。(四方さつき)

(2025年10月27日 中日新聞朝刊22面より)
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