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2008.03.25
漫画で卒論 学んだ歴史、得意分野で
中部大生 北区の吉岡さん 核や公害 社会を風刺
中部大(愛知県春日井市)人文学部歴史地理学科の学生が、卒業論文を漫画で提出した。芸術系以外の学科としては珍しいが、学生は漫画家志望で、作品も戦後史をテーマにした本格的な出来栄え。担当教授も納得の合格点を付け、社会に送り出した。
学生は名古屋市北区の吉岡宏安さん(22)。同学科は4年前に新設され、吉岡さんら約40人は初めての卒業生だ。
吉岡さんは小さいころから特に歴史漫画が好きで、高校時代は漫画研究会に所属し、全国大会の受賞歴も。大学では「まず歴史を勉強しなければ」と同学科を選択し現代史を学んだ。卒論指導に当たった三浦陽一教授に受賞歴を話すと、「では漫画で描いてみてはどうか」と勧められ、「その気になってしまった」。
テーマは「ゴジラ映画から見た日本戦後史」。ゴジラ映画全28作品の時代背景やストーリーを詳細に分析し、ゴジラの息子「ミニラ」の視点から戦後史を約60ページにわたってたどっている。「史実は詳しく正確に」「漫画作品として自立するように」という三浦教授の示した条件をクリア。他の教授からも異論は出なかった。
作品はコミカルなタッチながら、核や公害、国防問題などをゴジラ映画を通じて浮かび上がらせ、最後に「人間は過ちを繰り返す」と訴える。
三浦教授は「人間は出てこないのに社会への痛烈な風刺になっている。漫画だからできた表現で、論文を超えた説得力がある。やってもらってよかった」と評価する。
22日に卒業式を終えた吉岡さん。就職は未定というが「いい漫画を描くには人間が描けないとだめ。そのためにはもっと自分を鍛えたい」と模索を続ける。
(2008年3月25日 中日新聞夕刊12面より)
中部大(愛知県春日井市)人文学部歴史地理学科の学生が、卒業論文を漫画で提出した。芸術系以外の学科としては珍しいが、学生は漫画家志望で、作品も戦後史をテーマにした本格的な出来栄え。担当教授も納得の合格点を付け、社会に送り出した。
学生は名古屋市北区の吉岡宏安さん(22)。同学科は4年前に新設され、吉岡さんら約40人は初めての卒業生だ。
吉岡さんは小さいころから特に歴史漫画が好きで、高校時代は漫画研究会に所属し、全国大会の受賞歴も。大学では「まず歴史を勉強しなければ」と同学科を選択し現代史を学んだ。卒論指導に当たった三浦陽一教授に受賞歴を話すと、「では漫画で描いてみてはどうか」と勧められ、「その気になってしまった」。
テーマは「ゴジラ映画から見た日本戦後史」。ゴジラ映画全28作品の時代背景やストーリーを詳細に分析し、ゴジラの息子「ミニラ」の視点から戦後史を約60ページにわたってたどっている。「史実は詳しく正確に」「漫画作品として自立するように」という三浦教授の示した条件をクリア。他の教授からも異論は出なかった。
作品はコミカルなタッチながら、核や公害、国防問題などをゴジラ映画を通じて浮かび上がらせ、最後に「人間は過ちを繰り返す」と訴える。
三浦教授は「人間は出てこないのに社会への痛烈な風刺になっている。漫画だからできた表現で、論文を超えた説得力がある。やってもらってよかった」と評価する。
22日に卒業式を終えた吉岡さん。就職は未定というが「いい漫画を描くには人間が描けないとだめ。そのためにはもっと自分を鍛えたい」と模索を続ける。
(2008年3月25日 中日新聞夕刊12面より)