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スポーツ  2023.07.10

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稽古場はキャンパス 名古屋場所 安治川部屋×名経大 両得コラボ

園児と相撲を取る安治川部屋の力士たち=愛知県犬山市の名古屋経済大で

園児と相撲を取る安治川部屋の力士たち=愛知県犬山市の名古屋経済大で

■住民は相撲に触れ 力士は講義で学び

 相撲部屋と大学の異色コラボが実現した。9日に初日を迎えた大相撲名古屋場所(ドルフィンズアリーナ=愛知県体育館、中日新聞社共催)の稽古場として、安治川部屋が愛知県犬山市の名古屋経済大(名経大)のキャンパス内に宿舎を構えている。学生はもちろん、留学生、付属幼稚園の園児、地域住民たちは相撲を通して日本文化の一端に触れることができ、部屋の力士たちは大学の講義を特別聴講するなど学びの機会を得ている。(島田明)

 総合グラウンドや体育館などキャンパス内の体育施設が集まっているエリア。土俵は体育館横に作られ、合宿所もすぐ近くにある。学生たちも普通に目にするところで、安治川部屋の力士たちは稽古を行っている。

 同部屋は元関脇安美錦の安治川親方が昨年12月に独立し、設立したばかりの新しい部屋。名古屋場所の宿舎を探していたところ、手を差し伸べたのが名経大だった。部屋に同大出身初の力士、安強羅(あごうら)さん(本名飯間ルーカス一夫、岐阜県可児市出身)が在籍しているのが縁だった。

 相撲部屋宿舎といえば寺院が多い。大学というのは極めて異例といえる。佐分晴夫学長(76)は「うちの大学は留学生が多い。日本人ももちろんですが、相撲を通して日本の文化に興味を持ってもらいたかった。また地域密着の考えのもと、(住民に)大学に相撲を見にどんどん来ていただきたい」と説明した。

 6月29日には留学生が稽古を見学し、5日には同じキャンパス内にある付属幼稚園の園児たちが見に訪れた。園児たちはぶつかり稽古を目の当たりにし、「おー」と歓声を上げた。その後は土俵に上がり力士たちと相撲を取り、笑顔が花開いた。

 交流は他にも。管理栄養学科の学生が、栄養を考え、ちゃんこを作った。力士たちは特別開講された栄養講座、法律講座に出席し、ウクライナ出身で名古屋場所で新弟子検査を受けたダニーロ・ヤブグシシンさんは日本語授業を特別聴講した。

 安治川親方は「ラグビー場で走ったり、バスケットボールをしたり、相撲と全然違うこともしてリフレッシュできる。力士たちは同年代の学生から刺激を受けることもある」と言う。親方自身も引退後、早大大学院スポーツ科学研究科の修士課程で学び直した。「学ぶことはプラスになる。自分で学び、気付き、成長してほしい」と願いもした。

 大学側は弟子が増えてもいいように、来年はプレハブ住宅のユニットハウスを3棟建てて迎え入れる予定。安治川親方も「大学と地域に微力ながら力になれれば」と話している。

(2023年7月10日 中日新聞夕刊7面より)

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