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中日新聞掲載の大学記事

お知らせ  2023.01.11

高齢者半数が発症 変形性膝関節症 「長寿タンパク質」減が鍵 名古屋大が解明

 膝の軟骨がすり減るなどして痛みが生じる変形性膝関節症の発症に、タンパク質「α(アルファ)クロトー」の減少が関わっていることを、名古屋大などの研究グループが解明した。この病気は65歳以上の約半数が発症するとされ、治療法の手掛かりになると期待される。(今井智文)

 変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減るなどして痛みが生じたり、曲げ伸ばしが難しくなったりするが、発症のメカニズムは不明だった。一方、αクロトーは「長寿タンパク質」とも呼ばれ、筋肉や臓器、脳など全身で老化を防ぐ役割があることが近年、判明しつつあった。

 名大の飯島弘貴特任助教(リハビリテーション医学)らは、αクロトーの減少と変形性膝関節症の関係をマウスで研究。コラーゲンなどでできた軟骨組織が年齢を重ねて硬くなり始めると、αクロトーの生成を妨げる特定の酵素が細胞で増えることを見つけた。

 この酵素の増加によってαクロトーが作られにくくなり、コラーゲンなどを作る軟骨細胞の機能も低下。軟骨の老化を加速させ、発症するというメカニズムが分かったという。飯島特任助教は「変形性膝関節症を進行させる悪循環を断ち切ることが重要になりそうだ。加齢に伴うほかの疾患でも治療法開発に貢献できる可能性がある」と説明した。

 論文は10日付の国際学術雑誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。

(2023年1月11日 中日新聞朝刊26面より)

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