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お知らせ  学生活動  2022.05.21

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小牧・長久手の戦い 当時の色彩に 県芸大が「合戦図屏風」を復元模写中

画像を参考に色を塗っていく模写の様子=長久手市岩作三ケ峯の県立芸術大で

画像を参考に色を塗っていく模写の様子=長久手市岩作三ケ峯の県立芸術大で

 県立芸術大(長久手市)は名古屋市東区の徳川美術館が所蔵する「長篠長久手合戦図屏風(びょうぶ)」の模写制作を進めている。劣化による変色も反映した現状模写ではなく、描かれた当時の色彩を再現する復元模写という手法を採り、「小牧・長久手の戦い」を描いた部分は長久手市での展示が計画されている。(加藤慎也)

 同大は1974年から県からの委託事業などで、仏画を中心に3~5年かけ1つの模写作品を完成させている。同大講師で模写制作代表の藤田哲也さん(43)が「せっかく歴史的に大きな戦があった地元に何か残さないと」と2019年に提案。両合戦を描いた図屏風は複数存在するが、「状態が良く、武将1人1人の表情が分かりやすい」と徳川美術館の所蔵品に決め、同大の日本画家専攻のOBの画家計6人で始動した。

 大きさは縦約1.5メートル、横3.6メートル。制作開始前に、原画に発光ダイオード(LED)ライトを照射し、反射具合や影の大きさなどから、使用されている絵の具を割り出した。藤田さんは「和紙を含め、なるべく同素材同技法に」を目指す。経年劣化の逆算にはこれまでの蓄積を生かしている。例えば、刀ややりの刃は硫化もあり黒っぽくなっているが、岩絵の具や泥絵の具を使って、鮮やかな銀色に。山の色合いも明るい緑になる。曲がっている火縄銃は真っすぐにするなど若干の修正も加えるという。

 作品は大学で所蔵する計画だが、長久手市が同大に依頼し、小牧・長久手の戦いを描いた部分をもう1枚制作する。市は制作費に、商業施設「イオンモール長久手」周辺の地権者らでつくる「長久手中央土地区画整理組合」から受ける約2000万円の寄付を充て、25年度に市内に完成見込みの小牧・長久手の戦いのガイダンス施設に展示する。同組合は本年度で解散する予定で、担当者は「寄付は市と協力して、新たなガイダンス施設を良いものにしたいという思いから。合戦の図屏風で古戦場公園駅周辺の機運が高まればいい」と話す。

 現在、墨で大部分の線描きが終了し、着色にかかっている。藤田さんら制作チームは作業の合間に市郷土史研究会から史実のレクチャーも受けている。藤田さんは「歴史好きをがっかりさせるものは作れません。地元の子どもたちが戦いの当時の様子に思いをはせられるものにしたい」と話した。

(2022年5月21日 中日新聞朝刊なごや東版より)

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