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お知らせ 2022.01.04
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新素材ヘルメットに 植物原料で脱炭素 金沢のメーカーなど開発中
金沢市内のバイク用ヘルメットメーカーが金沢工業大(石川県野々市市)と共同で、植物由来の新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」を使ったヘルメットの開発に乗り出した。軽くて丈夫でリサイクルでき、3年後の商品化を目指している。温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」に貢献する取り組みで、欧州メーカーに新素材の販売も思い描く。 (瀬戸勝之)
この会社は「ウインズジャパン」。国内A級ライセンスのバイクレーサーだった片岡匡史(ただし)社長(52)が2009年に創業した。バイザー(日よけ)が内側に付いたヘルメットを国内メーカーで初めて販売したほか、炭素繊維やガラス繊維で商品化してきた。
バイク用ヘルメットの素材はプラスチック、炭素繊維、ガラス繊維が中心で3~5年で買い替えられるが、炭素繊維などは焼却できず、リサイクルも難しい。片岡社長は、自然に分解できリサイクルもできる植物由来のこの新素材に着目。自動車部品への活用を研究する金沢工大の附木貴行(つけぎたかゆき)講師(応用化学)とともに共同開発を19年に始めた。
初めての試作品はガラス繊維の層と、樹脂を浸透させたナノ(ナノは10億分の1)メートルサイズの繊維であるこの新素材の極薄シートを重ねた複合材で作ったが、手間やコストが課題で商品化は難しかった。
新素材の比率を下げ、マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルサイズの繊維をメインに再び試作。強度はやや落ちるものの、とがった物が刺さった時の耐久テストはJIS(日本産業規格)の基準をクリアし、衝撃吸収性も高い数値を示した。
割れた際に破片が飛びにくく、炭素繊維の複合材より安全性が高いことも判明。今後はコストを抑え新素材の比率を高めることを目指す。金沢工大はこの新素材とその他の素材を重ねた複合材の製法に関する特許を申請中。スノーボードやスケートボード、家具への応用も検討している。
ウインズジャパンは新素材シートの複合材を欧州市場に売り込むため、コロナ収束後にイタリア・ミラノで開かれる欧州最大のモーターサイクルショー「エイクマ」に出展する予定。片岡社長は「将来は、新素材が100%のヘルメットを業界に先駆けて販売したい」と話している。
セルロースナノファイバー(CNF) 植物をナノメートルサイズまで細かく解きほぐした繊維。鉄の5分の1の軽さで、5倍の強度を持つ。木材などからできているため、燃やしても二酸化炭素(CO2)を実質的に排出しない。樹脂で固めた複合材は、さまざまな産業分野で次世代素材として注目されている。
(2022年1月4日 北陸中日新聞朝刊1面より)
この会社は「ウインズジャパン」。国内A級ライセンスのバイクレーサーだった片岡匡史(ただし)社長(52)が2009年に創業した。バイザー(日よけ)が内側に付いたヘルメットを国内メーカーで初めて販売したほか、炭素繊維やガラス繊維で商品化してきた。
バイク用ヘルメットの素材はプラスチック、炭素繊維、ガラス繊維が中心で3~5年で買い替えられるが、炭素繊維などは焼却できず、リサイクルも難しい。片岡社長は、自然に分解できリサイクルもできる植物由来のこの新素材に着目。自動車部品への活用を研究する金沢工大の附木貴行(つけぎたかゆき)講師(応用化学)とともに共同開発を19年に始めた。
初めての試作品はガラス繊維の層と、樹脂を浸透させたナノ(ナノは10億分の1)メートルサイズの繊維であるこの新素材の極薄シートを重ねた複合材で作ったが、手間やコストが課題で商品化は難しかった。
新素材の比率を下げ、マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルサイズの繊維をメインに再び試作。強度はやや落ちるものの、とがった物が刺さった時の耐久テストはJIS(日本産業規格)の基準をクリアし、衝撃吸収性も高い数値を示した。
割れた際に破片が飛びにくく、炭素繊維の複合材より安全性が高いことも判明。今後はコストを抑え新素材の比率を高めることを目指す。金沢工大はこの新素材とその他の素材を重ねた複合材の製法に関する特許を申請中。スノーボードやスケートボード、家具への応用も検討している。
ウインズジャパンは新素材シートの複合材を欧州市場に売り込むため、コロナ収束後にイタリア・ミラノで開かれる欧州最大のモーターサイクルショー「エイクマ」に出展する予定。片岡社長は「将来は、新素材が100%のヘルメットを業界に先駆けて販売したい」と話している。
セルロースナノファイバー(CNF) 植物をナノメートルサイズまで細かく解きほぐした繊維。鉄の5分の1の軽さで、5倍の強度を持つ。木材などからできているため、燃やしても二酸化炭素(CO2)を実質的に排出しない。樹脂で固めた複合材は、さまざまな産業分野で次世代素材として注目されている。
(2022年1月4日 北陸中日新聞朝刊1面より)