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お知らせ 2021.08.03
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エックス線で細胞制御 藤田医科大など 脳傷つけず可能に
動物の脳内にある神経細胞に光を当てて動きを制御する「光遺伝学」と呼ばれる技術で、エックス線を用い、脳を傷つけずに制御を可能にする新手法を藤田医科大などの研究チームが開発した。将来的には、副作用の少ない神経疾患の治療法に応用できる可能性がある。
光遺伝学は、光による刺激で神経細胞を操作することができ、統合失調症やうつ病など神経疾患の病態を解明するための基礎研究で世界的に使われている。
従来の、光ファイバーを頭の中に刺して光を当てる手法では、ファイバーに引っ張られるなどして動物の動きが制限されたり、刺す際に脳組織がダメージを受けたりする問題点があった。
新手法は、エックス線に反応して発光する特殊な物質を使う。直径約2マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)という微小なサイズに加工した物質を脳内に注射で入れエックス線を照射したところ、物質が発光。光に反応したタンパク質の働きが活性化し、神経細胞を制御することに成功したという。
この特殊な物質はCTスキャンなどで使われているが、動物実験に活用されたのは今回が初めてという。チームの山下貴之・藤田医科大教授(神経科学)は「医療現場で使われるエックス線量で成果が出ており、安全性も問題はない」と強調した。成果は、英オンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズに掲載された。(白名正和)
(2021年8月3日 中日新聞朝刊25面より)
光遺伝学は、光による刺激で神経細胞を操作することができ、統合失調症やうつ病など神経疾患の病態を解明するための基礎研究で世界的に使われている。
従来の、光ファイバーを頭の中に刺して光を当てる手法では、ファイバーに引っ張られるなどして動物の動きが制限されたり、刺す際に脳組織がダメージを受けたりする問題点があった。
新手法は、エックス線に反応して発光する特殊な物質を使う。直径約2マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)という微小なサイズに加工した物質を脳内に注射で入れエックス線を照射したところ、物質が発光。光に反応したタンパク質の働きが活性化し、神経細胞を制御することに成功したという。
この特殊な物質はCTスキャンなどで使われているが、動物実験に活用されたのは今回が初めてという。チームの山下貴之・藤田医科大教授(神経科学)は「医療現場で使われるエックス線量で成果が出ており、安全性も問題はない」と強調した。成果は、英オンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズに掲載された。(白名正和)
(2021年8月3日 中日新聞朝刊25面より)