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学生活動  2020.11.15

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被災地の現実 自分の目で 福島取材 金城学院大生、授業で発表

ギャラリーに展示した写真の前で、視察中に感じたことを話す磯野ゼミの学生=守山区大森の金城学院大で

ギャラリーに展示した写真の前で、視察中に感じたことを話す磯野ゼミの学生=守山区大森の金城学院大で

 金城学院大(守山区)でジャーナリズムを学ぶ学生らが9月、東日本大震災の被災地の福島県を訪れ、復興の現状を取材し、その成果を同大の「マスコミ論」の授業で発表した。学生らは「被災地には自分の目で見ないと分からない事実がある」と、現地に足を運ぶ重要性を訴えた。 (清水大輔)

 学生は国際情報学部の磯野正典教授のゼミに所属している3年生10人。9月25日から3泊4日で、東京電力福島第一原発の事故で一時、全町避難を強いられた福島県浪江町などを訪れ、住民らに話を聞いた。

 9日にあった授業には、受講生や愛知県内に避難した被災者を支援する県被災者支援センターの関係者ら約80人が出席。冒頭、学生らは「震災から10年たち、被災地の現在の状況を知らなくてはと思った」と取材の契機を話した。

 原発から出た処理水の海洋放出を巡って、地元住民の間で、「沿岸部の早期復旧のために放出すべきだ」という意見と、「風評被害を防ぐためやめるべきだ」と考える意見の間で相違が起きている現実を紹介。

 また、学生たちは愛知県内へ自主避難し、東京五輪の聖火ランナーに内定した男性も取材。「ランナーが通る道だけ舗装される復興五輪に、違和感を覚える」という声を伝えた。

 その上で「被災地には自分たちがテレビで見ていた以上に複雑な現状があった」と、現地を実際に訪れ、自分の目で現状を見ることの大切さを強調した。

 同日、大学内のギャラリーでは「硝子の中の福島~フィルター無きリアル~」と題した写真展を開催。学生らが福島視察中に撮影した、沿岸部に残るがれきの写真や、帰還困難区域の写真など計15点を展示した。学生らは写真の前で、「福島の復興が進んでいない現状に衝撃を受けた」と観覧者に語っていた。

 授業を終えて、ゼミ生の長坂梨央さん(21)は「授業が、多くの人にとって被災地について考えるきっかけになればと思います」と話した。同じくゼミ生の黒木麻央さん(21)は「被災者の心が元に戻らなければ、本当の復興とは言えないと思いました」と述べた。

(2020年11月15日 中日新聞朝刊市民版より)

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