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中日新聞掲載の大学記事

お知らせ  2020.07.03

名大チーム バイオ燃料増産に期待 緑藻の目覚め 仕組み発見

 ほとんどの生物が保持している「体内時計」を研究する名古屋大のチームは、緑藻を使った実験で、朝になったことを細胞に告げる働きをする遺伝子を突き止め、米科学誌「プロス・ジェネティクス」に発表した。緑藻は、体内に油脂をためるためバイオ燃料の原料として注目されている。細胞内の「目覚め」の仕組みを応用すれば燃料の増産につながる可能性がある。

 松尾拓哉講師(時間生物学)らのチーム。これまでも緑藻の一種「コナミドリムシ」で研究を重ねてきた。緑藻でも、光合成が盛んになったり、しなくなったりするような1日のリズムを刻む。こうした体内時計には「ROC75」という遺伝子が関与すると分かっていたが、具体的な働きは不明だった。

 今回、「ROC75」を詳しく調べたところ、夜明けごろからROC75が働き始めてタンパク質が作られ、夜間に活発になる別の時計遺伝子群の働きを抑えることが判明した。夜の時間帯に人為的にROC75を働かせた場合でも同様に、夜に働く時計遺伝子群の機能が抑えられた一方、日中に働く遺伝子群は1時間以内に活発になった。こうした結果から、ROC75は朝になったことを告げる「アラーム」のような働きをしていると結論づけた。

 油脂の材料となる糖分は、朝になってから約12時間後に最もたまることが分かっている。バイオ燃料として供給する際には人工培養も選択肢となる。松尾講師は「ROC75を使って、糖分を効率良く作らせることで、バイオ燃料を増産できるかもしれない」と期待した。 (芦原千晶)

(2020年7月3日 中日新聞夕刊6面より)

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