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お知らせ  2020.02.27

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UV-B半導体レーザー開発 名城大・赤崎終身教授ら共同で

■皮膚病治療など応用期待

 紫外線(UV)のうち「UV-B」と呼ばれる波長領域の光が出る半導体レーザーの開発に、ノーベル物理学賞を受けた名城大の赤崎勇終身教授らの研究グループと旭化成、三重大が世界で初めて成功した。この領域の紫外線は細胞のDNAは壊さないが、タンパク質を変化させる特徴があり、皮膚病治療などへの応用が期待されるという。

 紫外線は波長が長い方から、A、B、Cの3つの領域に分類される。AとCの領域の半導体レーザーは開発されているが、波長が280~320ナノメートル(1ナノメートルは、100万分の1ミリ)のB領域は、レーザー光を出す半導体の結晶の作成が難しく、実現していなかった。

 名城大などのグループは、半導体の素材となる窒化アルミニウム結晶を平たんで特殊な膜の上に成長させることに成功し、高品質な結晶をつくることができた。

 半導体レーザーは、1ミリ角ほど。これまでもUV-B光源はあったが、大型で高額だった。今回の開発で、1000分の1まで小型化できたほか、価格も1000円以下に抑えられる予定で、将来的に医療機器などに組み込むこともできそうだという。現在は50ナノ秒(1ナノ秒は10億分の1秒)という短時間しか発光できないため、実用化に向けて、連続した光を出すことを目指す。

 20年以上かけて赤崎終身教授と研究してきた岩谷素顕(もとあき)准教授(半導体工学)は「波長を少しずつ変えることもでき、皮膚病治療やがん治療、材料の微細加工などさまざまな応用を探っていきたい」と語った。今回の研究成果は17日付の英科学誌に掲載された。 (芦原千晶)

(2020年2月27日 中日新聞朝刊県内総合版より)

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