進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > お知らせ

中日新聞掲載の大学記事

お知らせ  2019.12.11

この記事の関連大学

若者は失敗恐れるな 吉野さん「とんがった研究 経験伝えたい」 名城大学長らと現地で懇談

授賞式を前に懇談する名城大の(左から)小原章裕学長、吉野彰教授、磯前秀二教授=9日、ストックホルムで

授賞式を前に懇談する名城大の(左から)小原章裕学長、吉野彰教授、磯前秀二教授=9日、ストックホルムで

 2019年のノーベル化学賞に選ばれた名城大教授で旭化成名誉フェローの吉野彰さん(71)は9日夕(日本時間同日夜)、授賞式に招待した同大の小原章裕学長(61)らとストックホルム市内で懇談した。「若者は失敗を恐れずチャレンジを。そういうメッセージを出し続けていくことが、きっと私たち受賞者の責務」と語った。(ストックホルム=安藤孝憲、写真も)

 10日の授賞式を間近に控えた吉野さんはこの日、15歳までの生徒が通う市内の学校を訪問し、化学の授業などを見学。実験や環境問題について積極的な質問を受けたという。

 懇談会は宿泊先のホテルで催し、小原学長は「中高生の理科離れが指摘される中、吉野さんの経験を若い世代に伝えてほしい」と要望。吉野さんは、青色発光ダイオード(LED)の開発で14年のノーベル物理学賞を受けた同大の赤崎勇終身教授(90)の名前を挙げ「私も赤崎さんも『とんがった研究』の象徴。経験を直接伝えていきたい。何でも協力する」と答えた。

 吉野さんは、17年7月に同大教授に就任。当時、副学長だった農学部の磯前秀二教授(67)が「事業化研究にも造詣の深い人を」と招いた。同じく授賞式に招待された磯前教授が「大学と企業の研究はどう役割分担、連携すればいいか」と問うと、吉野さんは「大学の基礎研究では、今までと全く違う面白いものが一つだけでも見つかればいい。その他にいろいろな問題があったとしても、それらを解決していくのが産業界だろう」と強調した。

 「きれいなストーリーができあがっていて『ああ、なるほどな』と思われるような研究は基本的にだめ。そうじゃなくて誰も知らないものを提案しないと」とも。

 企業に長く勤めた経験から、産業界に向けては「時代が変わるときには新しい産業が生まれ、消える産業も出てくる。危機感は大事だが怖がっていては絶対にチャンスを逃してしまう」と指摘。「産業が集積する京都と東海地方にそのチャンスがある」と持論を改めて強調した。

(2019年12月11日 中日新聞朝刊28面より)

戻る < 一覧に戻る > 次へ