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2010.04.13
愛知大学野球2部リーグ 日本福祉大 異色のエース
■24歳鶴田 「夢はプロ」
中日・浅尾の母校・日本福祉大(愛知県美浜町)に、“回り道”によって鍛えられた快腕がいる。静岡高では甲子園球児、社会人野球の強豪トヨタ自動車(愛知)に3年間在籍したあと、大学に進んだ主戦・鶴田健太投手(4年)は24歳。チームは愛知大学2部リーグに所属しているが、浅尾先輩と同じプロのステージに立つことを夢見る。大学野球ラストイヤーは1部復帰を目指し、プロ側にもアピールする。
■先輩・D浅尾のように1部昇格を手土産に
1度は夢破れた右腕の再チャレンジ。最上級生エースとなり、勝負の年がやってきた。「ボクは今年10月に誕生日を迎えると、25歳。また社会人野球に戻って、そこからプロを狙うような時間はない。ギリギリの年齢なんです」と鶴田は“背水の陣”に立たされた気分でいる。その胸の内は複雑。日本福祉大の成田経秋監督代行(41)によると、「きっとトヨタを見返したい…のでしょう。それにはトヨタがいる社会人球界でなく、その上(プロ)ということに…」という。
静岡高時代は3年夏に主戦投手として甲子園に出場し、3回戦で敗退。高校時代の最速は146キロ。期待を背に受けてトヨタ自動車に入社した。しかし、腰痛など故障もあり活躍できず、3年目に戦力外通告を受けた。「野球をまだやりたい、やれるという気持ちが強かった」と決意して退社、21歳で日本福祉大に進学。この時、同い年の選手が大学4年生だった。ところが、ここでも試練が待ち受けていた。社会人経由での進学の場合、愛知大学野球連盟では1年間の公式戦出場を禁止する規定があったのだ。入学イヤーはマウンドに立てなかった。
「あれはショックな出来事だったが、今から思えば、ボクの足りない部分もあったし、故障を再発させない体づくりもできてよかった」と鶴田。これまで1部リーグ経験はないが、本格派右腕に育った。183センチ、85キロと恵まれた体格から140キロ台の速球を投げ、右打者の内角へのツーシーム、落差あるフォークなどを駆使する。
トヨタ自動車時代は金子(オリックス)服部(ロッテ)上野(広島)ら強力投手陣。1年先輩には昨季セ最多勝の吉見(中日)がいた。鶴田は「メシにいこう…と誘ってもらい、吉見さんにはよくしてもらった。いまでも年賀状の付き合いだけはあります」と懐かしげに話す。大学の先輩である浅尾を含めて身近だった人に多数のプロ選手がいるから、余計にプロの世界に入りたくなる。
今春の開幕カードの名産大戦は完封を含む2勝。先の東海学園大1回戦は0−2で敗れ、開幕からの連続無失点は17イニングで止まったが、好発進。「浅尾さんはチームを1部リーグに引き上げ、ドラフト指名も受けた。ボクも同じように…」と鶴田は夢見る。“回り道”した右腕が幸をつかめるか。 (阿知波浩二)
▼鶴田健太(つるた・けんた) 1985(昭和60)年10月2日生まれの24歳。静岡県出身。183センチ、85キロ、右投げ左打ち。静岡高では最後の夏に甲子園出場。トヨタ自動車には04年入社。06年のシーズンを最後に退社し、日本福祉大には07年進学。3年春の愛工大戦では延長12回を投げて12奪三振、1失点の好投。経済学部で学び、卒業まで必要な単位はあと「4」と学業優秀。教職資格(社会科教諭)を取るための勉強もしている。
(2010年4月13日 中日スポーツ11面より )
中日・浅尾の母校・日本福祉大(愛知県美浜町)に、“回り道”によって鍛えられた快腕がいる。静岡高では甲子園球児、社会人野球の強豪トヨタ自動車(愛知)に3年間在籍したあと、大学に進んだ主戦・鶴田健太投手(4年)は24歳。チームは愛知大学2部リーグに所属しているが、浅尾先輩と同じプロのステージに立つことを夢見る。大学野球ラストイヤーは1部復帰を目指し、プロ側にもアピールする。
■先輩・D浅尾のように1部昇格を手土産に
1度は夢破れた右腕の再チャレンジ。最上級生エースとなり、勝負の年がやってきた。「ボクは今年10月に誕生日を迎えると、25歳。また社会人野球に戻って、そこからプロを狙うような時間はない。ギリギリの年齢なんです」と鶴田は“背水の陣”に立たされた気分でいる。その胸の内は複雑。日本福祉大の成田経秋監督代行(41)によると、「きっとトヨタを見返したい…のでしょう。それにはトヨタがいる社会人球界でなく、その上(プロ)ということに…」という。
静岡高時代は3年夏に主戦投手として甲子園に出場し、3回戦で敗退。高校時代の最速は146キロ。期待を背に受けてトヨタ自動車に入社した。しかし、腰痛など故障もあり活躍できず、3年目に戦力外通告を受けた。「野球をまだやりたい、やれるという気持ちが強かった」と決意して退社、21歳で日本福祉大に進学。この時、同い年の選手が大学4年生だった。ところが、ここでも試練が待ち受けていた。社会人経由での進学の場合、愛知大学野球連盟では1年間の公式戦出場を禁止する規定があったのだ。入学イヤーはマウンドに立てなかった。
「あれはショックな出来事だったが、今から思えば、ボクの足りない部分もあったし、故障を再発させない体づくりもできてよかった」と鶴田。これまで1部リーグ経験はないが、本格派右腕に育った。183センチ、85キロと恵まれた体格から140キロ台の速球を投げ、右打者の内角へのツーシーム、落差あるフォークなどを駆使する。
トヨタ自動車時代は金子(オリックス)服部(ロッテ)上野(広島)ら強力投手陣。1年先輩には昨季セ最多勝の吉見(中日)がいた。鶴田は「メシにいこう…と誘ってもらい、吉見さんにはよくしてもらった。いまでも年賀状の付き合いだけはあります」と懐かしげに話す。大学の先輩である浅尾を含めて身近だった人に多数のプロ選手がいるから、余計にプロの世界に入りたくなる。
今春の開幕カードの名産大戦は完封を含む2勝。先の東海学園大1回戦は0−2で敗れ、開幕からの連続無失点は17イニングで止まったが、好発進。「浅尾さんはチームを1部リーグに引き上げ、ドラフト指名も受けた。ボクも同じように…」と鶴田は夢見る。“回り道”した右腕が幸をつかめるか。 (阿知波浩二)
▼鶴田健太(つるた・けんた) 1985(昭和60)年10月2日生まれの24歳。静岡県出身。183センチ、85キロ、右投げ左打ち。静岡高では最後の夏に甲子園出場。トヨタ自動車には04年入社。06年のシーズンを最後に退社し、日本福祉大には07年進学。3年春の愛工大戦では延長12回を投げて12奪三振、1失点の好投。経済学部で学び、卒業まで必要な単位はあと「4」と学業優秀。教職資格(社会科教諭)を取るための勉強もしている。
(2010年4月13日 中日スポーツ11面より )