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中日新聞掲載の大学記事

2008.05.19

中部大悲願初Vへ“逆王手”

小川が逆転サヨナラ2ラン

 中部大がリーグ戦4連覇に王手をかけていた愛院大に延長10回、4−3で逆転サヨナラ勝ちし、悲願の初優勝に“逆王手”をかけた。中部大は1−2で迎えた9回2死二塁。代打・水谷諭内野手(3年・新川)の適時二塁打で同点に追いつき、再び1点勝ち越された10回1死二塁、小川将良右翼手(3年・中部大第一)の逆転サヨナラ2ランが飛び出した。名商大−愛産大は延長12回、1−1で時間切れ引き分け。両カードの3回戦は19日午前9時半から春日井市民球場で行われる。

2度追いつき10回に劇的勝利

 チーム全員の思いが奇跡を呼んだ。1966年創部以来の1部リーグ初優勝を目指す中部大は、3度リードされた試合を2度追いつき、最後は逆転サヨナラ勝ち。愛院大にリーグ制覇の王手をかけられていたが、中部大が“逆王手”をかけた。

 「本当によく粘ってくれて、何も言うことはない」。善久裕司監督(50)は信じられない表情で選手をたたえた。

 熱闘に終止符を打ったのは小川のバットだった。愛院大に1点を勝ち越され、2−3で迎えた延長10回1死二塁。真ん中高めの速球を思い切り引っ張って、右翼席に運んだ。今まで本塁打は「新人戦で打ったぐらい」という2番打者が放ったリーグ戦初ホーマーが劇的な一発となった。

 「自分で決めるのではなく、後ろにつなごうとした。サヨナラ弾なんて初めて。プロ野球で見たことしかない」。小川は歓喜の輪の中心で夢心地だった。

 2回戦を落としてストレート負けしていれば、愛院大のリーグ優勝が決まる試合だった。がけっぷちにたたされた中部大は4回に先制され、同点に追いついても、常に勝ち越される展開でゲームは進んだ。中部大はベンチ入り25人のうち、19人をつぎ込む総力戦で、チームを救ったのは、これまで主役ではなかった選手たちだった。前日(17日)の1回戦の打撃不振で打順を下げられた有我が7回に同点打、そして9回2死から同点二塁打を放ったのは代打の水谷だ。

 「集中できて緊張もしなかった。自分のスイングをすることだけ考えて打席に入れた」と水谷。前日は今季初めてベンチから外され、悔しさを「やってやるぞ」とバットに込めて振り抜くと、ボールは右翼手の頭を越えた。「その後(10回)勝ち越されても、大丈夫という雰囲気だった」。伏兵の活躍が、重い空気だったチームを上昇気流に乗せた。

 19日の3回戦は、優勝をかけた最終決戦。

 「明日も総力戦でいきます。先発も小笠原と金丸、どちらでもいける」と善久監督。指揮を執って28年目の将に気合が入る。チームが1つにまとまっての逆転サヨナラ勝ちと、これ以上ない勢いがついた中部大が、初優勝を一気にもぎ取りにいく。(田中一正)

愛院大V4お預け

 愛院大はリーグ戦4連覇がお預けとなった。2度も同点に追いつかれ、最後はサヨナラ弾で逆転負けの展開に、田中監督は「なぜあんな配球をしたのか」と、バッテリーへの怒りが収まらない様子。それでも、「気持ちを切り替えてやるしかない。底力を見せたい」と3回戦に目を向けた。この日は看板エース・小川を最後まで温存。頼みの右腕で、優勝を何が何でも取りにいくつもりだ。

▽2回戦(愛産大1勝1分け)

愛産大 000100000000―1
名商大 100000000000―1
(延長12回引き分け)


▽2回戦(1勝1敗)

愛院大 0001000101―3
中部大 0000001012x―4
(延長10回)
本塁打笹田(愛)小川(中)

(2008年5月19日 中日スポーツ13面より)
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