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2008.05.19
ポッドキャスト 大学が授業に利用
通学中、バイトの合間でも講義が聴ける
若者に受ける手軽さ
インターネットで公開した動画や音声を再生できるポッドキャストを、授業に利用する大学が増えている。講義を携帯プレーヤーにダウンロードすれば、通学中やアルバイトの合間でも学習が可能。若者に人気の携帯プレーヤーだけに、学生には抵抗感がなく手軽さが受けている。少子化で大学間競争が激しくなる中、大学の特徴をPRする目的もあるようだ。 (社会部・広瀬和実)
ネットで配信 学校のPRにも
名古屋外国語大(愛知県日進市)英米語学科では昨年から、「放送英語」の授業で学生が製作した英語のインタビュー番組を配信している。「美容整形」「キャンパスでの服装」という軽い話題から「格差」など社会問題も取り上げる。1週間に100件ほどのアクセスがあった。本年度は19日に初回を開始する。
インタビューは学生がテーマを決め、学生や教職員らを取材。録音した音声を学生がパソコンで編集し、配信する。製作は3人1組で、1人1回は必ずプロデューサーとして指揮。製作期間は2−3週間で毎週、話題を更新する。
指導するトム・ケニー准教授(45)は米国、日本でラジオアナウンサー歴30年の話しのプロ。「学生に社会問題について考え、英語の表現力と同時にコンピュータースキルと番組製作について学んでもらう」という狙いからポッドキャストの活用を思い付いた。「学生自身がメディアの一部として社会に発信していることを実感している」とケニー准教授は効果を強調する。
中部大(同県春日井市)では、ポッドキャスト用に編集した工学部の一部の講義をネットで公開している。講義の撮影、編集は工学部の藤吉弘亘准教授(38)が開発した自動の撮影システムを使用。このシステムでは、カメラが勝手に講師の動きを追い、板書している時は黒板にズームアップする。講師が動かない時は自動的に場面をカットしてくれる。
藤吉准教授は「ポッドキャストは撮影や編集に人手がいるが、中部大のシステムは他に例がない」と自信を見せる。将来的には同大の講義をアーカイブとして残し、一般の生涯学習への利用も視野に入れる。
金城学院大(名古屋市守山区)では、現代文化学部情報文化学科の中田平教授(62)の授業で、学生が名古屋市や近郊の観光地などを取材した内容を紹介する「金城ポッドウオーク」、中日新聞のニュースを紹介する「金城ポッドニュース」を流している。
メディア教育に詳しい名古屋工業大(名古屋市昭和区)の江龍修教授(45)は「少子化による大学の学生獲得競争が激しくなる中、こうした試みは大学の宣伝活動としては有効。また社会人の再教育という点でも利点がある。ただ知的財産をどこまで無償で公開できるかは、授業料を払う学生との兼ね合いで難しい面もある」と話す。
(2008年5月19日 中日新聞朝刊13面より)
若者に受ける手軽さ
インターネットで公開した動画や音声を再生できるポッドキャストを、授業に利用する大学が増えている。講義を携帯プレーヤーにダウンロードすれば、通学中やアルバイトの合間でも学習が可能。若者に人気の携帯プレーヤーだけに、学生には抵抗感がなく手軽さが受けている。少子化で大学間競争が激しくなる中、大学の特徴をPRする目的もあるようだ。 (社会部・広瀬和実)
ネットで配信 学校のPRにも
名古屋外国語大(愛知県日進市)英米語学科では昨年から、「放送英語」の授業で学生が製作した英語のインタビュー番組を配信している。「美容整形」「キャンパスでの服装」という軽い話題から「格差」など社会問題も取り上げる。1週間に100件ほどのアクセスがあった。本年度は19日に初回を開始する。
インタビューは学生がテーマを決め、学生や教職員らを取材。録音した音声を学生がパソコンで編集し、配信する。製作は3人1組で、1人1回は必ずプロデューサーとして指揮。製作期間は2−3週間で毎週、話題を更新する。
指導するトム・ケニー准教授(45)は米国、日本でラジオアナウンサー歴30年の話しのプロ。「学生に社会問題について考え、英語の表現力と同時にコンピュータースキルと番組製作について学んでもらう」という狙いからポッドキャストの活用を思い付いた。「学生自身がメディアの一部として社会に発信していることを実感している」とケニー准教授は効果を強調する。
中部大(同県春日井市)では、ポッドキャスト用に編集した工学部の一部の講義をネットで公開している。講義の撮影、編集は工学部の藤吉弘亘准教授(38)が開発した自動の撮影システムを使用。このシステムでは、カメラが勝手に講師の動きを追い、板書している時は黒板にズームアップする。講師が動かない時は自動的に場面をカットしてくれる。
藤吉准教授は「ポッドキャストは撮影や編集に人手がいるが、中部大のシステムは他に例がない」と自信を見せる。将来的には同大の講義をアーカイブとして残し、一般の生涯学習への利用も視野に入れる。
金城学院大(名古屋市守山区)では、現代文化学部情報文化学科の中田平教授(62)の授業で、学生が名古屋市や近郊の観光地などを取材した内容を紹介する「金城ポッドウオーク」、中日新聞のニュースを紹介する「金城ポッドニュース」を流している。
メディア教育に詳しい名古屋工業大(名古屋市昭和区)の江龍修教授(45)は「少子化による大学の学生獲得競争が激しくなる中、こうした試みは大学の宣伝活動としては有効。また社会人の再教育という点でも利点がある。ただ知的財産をどこまで無償で公開できるかは、授業料を払う学生との兼ね合いで難しい面もある」と話す。
(2008年5月19日 中日新聞朝刊13面より)