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学生活動  2019.03.30

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医師が後押し デザイナーに 豊明の江草さん 病院内装手掛け成長

自作の湯飲みを運び込む江草さん(左)と尾関さん。右は上西さん=小牧市常普請2の上西内科で

自作の湯飲みを運び込む江草さん(左)と尾関さん。右は上西さん=小牧市常普請2の上西内科で

 デザイナーを志す学生を、医師が後押しした。日進市の名古屋学芸大4年、江草彩さん(22)=豊明市=がこの春、生活雑貨の企画デザイナーとして、社会に羽ばたく。小牧市常普請2に昨年7月に開院した上西内科の内装を、思いがけない出会いから手掛けたことで、デザイン力と自己表現力を磨いた。(藤野治英)

 建物に入ると、正面に陶芸作品が並んだ棚がある。江草さんは開院前の企画段階から手掛けてきた。きっかけは2017年10月、名古屋市中区栄で開かれた同大メディア造形学部デザイン学科の学生による作品展。江草さんにとって初めて学外で開く展覧会で、イチョウの葉をかたどった湯飲みを出品していた。これがたまたま通りかかった開院準備スタッフの目に留まった。

 院長の上西栄太さん(42)は「病院は『行きたくない場所』の代表格。『また来たくなる病院』にしたい」と考えていた。スタッフから江草さんの湯飲みの話を聞き「学生の発想にかけてみたい」と連絡を取って面談。図面もできていなかった待合室の壁一面を託した。

 「驚いたけれど、それ以上にうれしかった」と江草さん。依頼は「作品を手に取って温度が感じられる棚」。同級生の尾関真彩さん(22)=日進市=の助けを借り、「ぬくもり」をキーワードに半年を費やしてデザインを決めた。「生活に欠かせない食器を、手に取りやすいように並べた。木を基調にした棚ごと、全て触れられるように」。日常と非日常の境目をつないだ。

 「学生としては、それまで自分の頭の中で課題を完結させて終わりだった。相手のことを考えてデザインしたことは初めてで、この経験が就職活動に役立ちました」

 入社試験で、自社製品を店頭でどう配置するか、という課題があった。上西内科での取り組みがそのままアピールポイントになったという。

 上西さんは棚の世界観をそのままに、時折作品を入れ替えていくという。「まっさらなキャンバスにこれだけの色を付けてくれた。彼女たちのこれからの活躍が楽しみです」と目を細めた。

(2019年3月30日 中日新聞朝刊なごや東版より)

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