HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て
2010.03.19
星団誕生の全過程解明 名大教授らグループ
■ガス雲の破壊初観測
星団の母胎となるガス雲が、星団が生まれた後で破壊される現象を、名古屋大の福井康雄教授と河村晶子准教授らのグループが世界で初めて観測した。ガス雲が破壊されるのは星団が完成する最後の段階とされ、ガス雲の中に星が生まれてから星団となるまでの過程の全容が明らかになった。24日から広島大(広島市)で開催される日本天文学会で発表される。
グループは、南米チリに設置した電波望遠鏡「なんてん2」で、地球から16万光年離れた大マゼラン雲という銀河を観測。約300万年前に生まれた若い星団を観測し、その星団を生み出した「分子雲」と呼ばれる巨大なガス雲が散りぢりになり、小さなガス雲に破壊される姿をとらえた。観測されたガス雲は10以上あり、一番小さなもので太陽の1万倍の重さ。母体のガス雲は、太陽の50万倍の質量だったと見積もられる。
これまでの観測で、星団が出来上がるまでに(1)ガス雲があるが、星の形成は始まっていない(2)ガス雲の中に星が1、2個できる(3)数個以上の星団を活発に形成している−の3段階があることが分かっていた。今回、最終段階のガス雲の破壊の観測に成功したことで、星団誕生の全過程が解明されたことになる。
福井教授によると、星団の形成には3000万年かかり、ガス雲が破壊され星団だけが残るまでに、さらに数百万年かかる。ガス雲が破壊されて消えると星が散逸しやすくなり、やがて数十億年かけて孤立していくという。
福井教授は「星が形成されるすべての過程が分かったことで、銀河の進化を解明する上で大きな成果が得られた」と話している。
(2010年3月19日 中日新聞朝刊35面より)
星団の母胎となるガス雲が、星団が生まれた後で破壊される現象を、名古屋大の福井康雄教授と河村晶子准教授らのグループが世界で初めて観測した。ガス雲が破壊されるのは星団が完成する最後の段階とされ、ガス雲の中に星が生まれてから星団となるまでの過程の全容が明らかになった。24日から広島大(広島市)で開催される日本天文学会で発表される。
グループは、南米チリに設置した電波望遠鏡「なんてん2」で、地球から16万光年離れた大マゼラン雲という銀河を観測。約300万年前に生まれた若い星団を観測し、その星団を生み出した「分子雲」と呼ばれる巨大なガス雲が散りぢりになり、小さなガス雲に破壊される姿をとらえた。観測されたガス雲は10以上あり、一番小さなもので太陽の1万倍の重さ。母体のガス雲は、太陽の50万倍の質量だったと見積もられる。
これまでの観測で、星団が出来上がるまでに(1)ガス雲があるが、星の形成は始まっていない(2)ガス雲の中に星が1、2個できる(3)数個以上の星団を活発に形成している−の3段階があることが分かっていた。今回、最終段階のガス雲の破壊の観測に成功したことで、星団誕生の全過程が解明されたことになる。
福井教授によると、星団の形成には3000万年かかり、ガス雲が破壊され星団だけが残るまでに、さらに数百万年かかる。ガス雲が破壊されて消えると星が散逸しやすくなり、やがて数十億年かけて孤立していくという。
福井教授は「星が形成されるすべての過程が分かったことで、銀河の進化を解明する上で大きな成果が得られた」と話している。
(2010年3月19日 中日新聞朝刊35面より)