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学生活動  2018.04.20

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茶会1年半 心ほぐす 四日市大生ら 熊本で震災ボランティア 仮設住宅 被災者に前向きな話題増える

 四日市大(四日市市萱生町)のボランティア団体「四日市東日本大震災支援の会」が、熊本地震の被災地、熊本県西原村の仮設住宅を訪れて茶会を開いている。2016年9月から始まった隔月の活動は1年半に。世間話にとどまっていた被災者が心を開き、震災の教訓を伝える姿も出てきた。総合政策学部2年の現王園(げんおうぞの)舞さん(19)は「通い続けることで体験から学ぼうとする私たちの姿勢が通じ、前向きな話をしてくれるようになった」と話す。(高島碧)

 熊本市の東に位置する西原村。毎回、20人の学生らが駆け付ける。避難所から仮設住宅に移るとお互いの姿が見えなくなり、支援の手が届かず孤立者が生まれやすい。茶会は人のつながりを生むことが目的だ。

 仮設住宅の集会所を借り、集まるのは十数人。小学生〜90代と年齢層は幅広い。学生はまず足湯や手足をマッサージする。「熱くないですか」。自然と会話が生まれ、触れ合いを通して心の距離を縮める。その後、コップに茶を注ぎ、歓談に重きを置いた茶会が始まる。

 昨年7月の茶会では、お互いの地域についての雑談のみだった。被災者は学生の顔を覚え始めると、自ら孫のことなど個人的な話をするようになった。

 今年に入り、震災当時の話が出てきた。90代の女性は「夜中に揺れて、ばっと外に出たら2階建ての家が崩れた」と振り返る。「すぐに出たから助かった。普段から必需品を備えて」と伝える。

 男子高校生は「非常袋は小分けして玄関や車の中に入れとくといいよ」と助言をくれる。現王園さんは「会い続けるうち、友人のようなつながりができた。思い出したくない体験も、未来に生かそうとしている」と話す。

 西原村地域支え合いセンターの主任後藤由香莉さん(32)は「震災があったからこそ生まれた遠い三重との縁が、被災者の支えになっている」と感謝する。

 村は震度7を記録し、全壊が全体の2割にあたる512棟、半壊以上は半分の1377棟に上る。関連死を含め、死者は8人。3月末現在、仮設住宅244戸に被災者651人が暮らす。支援の会の鬼頭浩文会長(55)=総合政策学部教授=は「8月には災害公営住宅の入居が始まり、9月の茶会は仮設住宅の二手に分かれて開くつもり。人のつながりを生む活動を続けたい」と語る。

(2018年4月20日 中日新聞朝刊三重版より)

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