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お知らせ  2018.03.30

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体性幹細胞で臓器再生 藤田保健大が臨床研究施設

 藤田保健衛生大(愛知県豊明市)は、人の体を構成するさまざまな細胞に変化する幹細胞の臨床応用を目標にした「国際再生医療センター」を設置する。臓器移植以外に手段がなかった心不全や肝硬変などの治療実現を目指す。大学として受け入れ態勢を充実させた重度の意識障害の患者の治療にも、幹細胞が応用できないかを研究する。

 幹細胞を用いた再生医療を研究してきた国立研究開発法人「医薬基盤・健康・栄養研究所」の松山晃文・難治性疾患研究開発・支援センター長を4月から教授として招く。

 幹細胞は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)が一般的に知られているが、藤田保健衛生大が力を入れるのは「体性幹細胞」の研究。血液となる造血幹細胞や、神経となる神経幹細胞、骨や軟骨、脂肪などへ変化する間葉系幹細胞などがある。iPS細胞はがん化するリスクが課題となる一方、体性幹細胞は比較的安全性が高いとされる。既に心筋細胞をシート状にして移植したり、脊椎損傷の患者に幹細胞を投与したりする臨床研究が始まっている。

 松山氏は、ヒトの脂肪から採取した体性幹細胞を体内に投与すると、周囲の細胞と同じ細胞に変化することを発見。培養した幹細胞をカテーテルで心臓に投与することで、慢性心筋梗塞の患者の心機能を改善する研究を手掛けている。

 大学の一角に清浄な空気を保てる部屋や、細胞の培養のために必要な設備を整備し、来年1月ごろにセンターとして始動する予定。

 藤田保健衛生大は4月1日、交通事故などで脳に損傷を負った人を、救急からリハビリテーションまで一貫して受け入れる「意識障害治療回復センター」を設置する。長期的に意識が回復しない「遷延(せんえん)性意識障害」と呼ばれる状態になった人の治療にも幹細胞が生かせないか、研究する。

(2018年3月30日 中日新聞朝刊1面より)

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