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学生活動  2018.03.16

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がん治療研究 最先端拠点で 長浜バイオ大・院から 山下さん 米国立衛生研究所に就職

7月から米国立衛生研究所で研究員として働く長浜バイオ大大学院の山下さん=長浜市の長浜バイオ大で

7月から米国立衛生研究所で研究員として働く長浜バイオ大大学院の山下さん=長浜市の長浜バイオ大で

 長浜市の長浜バイオ大大学院を今春卒業する博士課程3年の山下幸子さん(28)が、7月から米国立衛生研究所(NIH)の研究員として一歩を踏み出す。NIHは、世界中から生命科学分野の人材が集う最先端の拠点。在学中にがん治療を研究してきた山下さんは「米国で修業し、新薬開発や新たな治療法の確立につなげたい」と意気込んでいる。(渡辺大地)

 大阪府茨木市出身。高校3年の時、親戚が膵臓(すいぞう)がんになったのをきっかけに、がん治療に興味を持った。進路相談では規模の大きな大学への進学を薦められたが、「バイオ大は1年生から実験ができ、研究分野も幅広い」と迷わず受験した。

 在学中に没頭したのが、がん細胞を死滅させる温熱療法の研究だ。子宮頸(けい)がん細胞を使い、温熱によってがん細胞が受けるダメージを高精度で測る独自の手法を開発。温熱が、がん細胞のDNAを損傷させていることも突き止め、治療効果の向上に情熱を注いだ。

 修士課程時代には、バイオ大の当時の学長の紹介でNIHに1年半留学。大学院復帰後の2016年6月、研究成果をまとめた論文が海外の科学雑誌に掲載され、NIH就職の決め手となった。

 修士、博士課程の計5年間は、茨木市の自宅から毎日1時間半以上かけて電車で通った。研究室に簡易ベッドを持ち込み、昼夜問わず研究に明け暮れた。

 「実験で使う細胞の生活リズムに自分の時間を合わせた」。研究が行き詰まったときは趣味のストリートダンスで気分転換した。

 「自由に研究させてくれたバイオ大にはすごく感謝している」。山下さんはそう振り返り、最先端の実験機器や試薬が存分に与えられるNIHでの研究に向け、「結果を残せるかは実力次第。将来は米国で学んだ技術を日本に広め、国内のがん治療の研究を活性化させたい」と語った。

(2018年3月16日 中日新聞朝刊びわこ版より)

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