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中日新聞掲載の大学記事

2017.06.24

琵琶湖に繁茂「オオバナミズキンバイ」 駆除や活用 学生決起 長浜バイオ大 燃料、肥料化研究 

 琵琶湖で大量繁茂している特定外来生物の水草「オオバナミズキンバイ」の拡大を食い止めようと、長浜バイオ大(長浜市)の学生有志が立ち上がった。南湖が中心だった生息域は近年、北湖にも広がり、学生たちは「駆除」と「活用」を柱に取り組んでいく。(渡辺大地)

 アニマルバイオサイエンス学科2年の佐藤美菜さん(19)が呼び掛け、今月6日、1、2年の有志17人で部をつくった。佐藤さんはもともと、NPO法人国際ボランティア学生協会(東京)の一員として個人的に駆除に協力しており、「大学の特色を生かし、社会問題にアプローチできないか」と考えた。部は国際ボランティア部と名付け、駆除などをメインに活動する。

 オオバナミズキンバイは、県内では2009年に守山市で初めて見つかった。15年には米原、高島市など北湖でも確認。昨年度は一時、過去最大の30万平方メートルまで広がり、佐藤さんは「地元の長浜でいつ見つかっても不思議じゃない」と危機感を募らせる。

 駆除は同協会と行動を共にし、年内は3回予定する活動に参加する。

 部のもう1つの目的が、駆除後の有効活用の研究だ。オオバナミズキンバイの大量繁茂の阻止に取り組む県は昨年度、駆除や焼却処分、監視などに3億3000万円を支出した。

 佐藤さんらは、進んでいない活用に着目。処分前のオオバナミズキンバイから、自動車燃料などにも使われる生物由来のバイオエタノールを抽出できないか研究を進める。

 バイオ大では過去に、琵琶湖の別の水草からバイオエタノールを精製できた研究事例があるといい、教授陣の知恵を借りながら取り組む。バイオエタノールを抽出した後に残る搾りかすを、肥料として転用できないかも調べる。

 「本年度内には一定の成果を出したい」と佐藤さん。「将来の事業化を目指し、まずは学内に研究の基盤をつくりたい」と話している。

■オオバナミズキンバイ

 南米、北米南部原産のアカバナ科の多年生水草。水陸両生で繁殖力が非常に強く、葉や茎の断片からでも根を生やして生長する。太陽光を遮断して水中生物の成長を阻害したり、船の航行を妨げたりするなどの悪影響が指摘されている。国内では2007年に初めて、兵庫県加西市のため池で見つかった。

(2017年6月24日 中日新聞朝刊滋賀総合版より)
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