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中日新聞掲載の大学記事

2008.05.02

アルメニア人虐殺を研究 愛産大の瀬川教授 現地2大が名誉教授学位

 愛知産業大(岡崎市)経営学部の瀬川博義教授(67)=国際法学=が、アルメニアの首都エレバンにあるラチャ・アチャリアン大とグラゾル大から名誉教授の学位が贈られた。トルコ人によるアルメニア人虐殺の日(4月24日)に同国に招かれて授与式に出席し、両大学で講演した。

 瀬川教授は、国連機関の資料を調査中、虐殺問題の報告書に触れて研究を開始。知られていない虐殺の実態について日本とアルメニアで講演したり、3月には現地の研究者たちとの共著「アルメニア人虐殺の記憶 公開講座」(三恵社)を出版したりしたことが評価された。

 瀬川教授によると、19世紀末から20世紀初めにかけ、イスラム教を国教とするオスマン・トルコ帝国で、少数派のキリスト教徒だった100万から150万人のアルメニア人が殺害された。

 約90年たった今もトルコ政府は虐殺の事実を認めておらず、アルメニア人の心に刻まれた傷は深いという。両国間の国交は断絶したままになっている。

 瀬川教授は「恨みが友好の障害になっているのは、日本と近隣諸国の関係にもみられる。研究を深化させ、世界平和に役立つ糸口を示したい」と誓った。

(中野祐紀)

(2008年5月2日 中日新聞朝刊県内版より)

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