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中日新聞掲載の大学記事

2016.02.25

南山歌舞伎 28日ラスト公演 ゼミ生ら熱演 志継ぐ学生卒業

 南山大名古屋キャンパス(名古屋市昭和区)で毎年上演されてきた学生歌舞伎が28日、最後の舞台を迎える。11年前、人文学部日本文化学科の教授がゼミで提案して始まった「南山歌舞伎」。ラスト公演となったのは、この教授が退職した上、ゼミ生の志を引き継いだ学生が今春卒業するため。メンバーは「精いっぱい演じたい」と練習に励んでいる。(村松秀規)

 現名誉教授の安田文吉さん(70)が「座学では学べない視点から歌舞伎を研究してほしい」と提案し、卒業研究として2005年に始まった。演目は江戸時代末期の歌舞伎作者河竹黙阿弥が作った「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」で、通称「白浪五人男」で知られる。ゼミ生が毎年この時期に上演してきた。

 安田さんは14年に退職し、ゼミもなくなった。だが、ゼミ生がけん引してきたサークル「歌舞伎倶楽部」には、ともに舞台に立った後輩たちが残っていた。当時の2年生4人が卒業するまでは続けることを決めた。

 最後の公演は南山大の学生に、安田さんが現在教授を務める東海学園大のゼミ生らを加えた計13人。1年かけて作品の背景を学んで脚本を読み込み、1月ごろから本格的に練習を始めた。平均して週2、3回、各3時間ほど。直前は連日、本番さながらに演じて動作を確認している。

 安田さんは「学生の歌舞伎を学ぶ姿勢が変わった。十分に役目を果たせた」と教え子の成長に目を細める。

 公演後は、30年以上活動してきた歌舞伎倶楽部も廃部となる。4年青木梨乃さん(22)は入学案内で南山歌舞伎を見て「私もやりたい」と入部。「終わってしまう寂しさもあるけど、卒業までできたことに感謝したい」と話す。

 部長の4年大槻有沙さん(21)は「歌舞伎の深みを追求して一生懸命練習してきた。役者それぞれの演技を見てほしい」と意気込んでいる。当日は午後1時開演。終了後、出演メンバーが日本舞踊も披露する。入場は無料。

 今回で「南山歌舞伎」の名称は消えるが、学生歌舞伎自体は来年以降、東海学園大の学生が引き継いでいく。

(2016年2月25日 中日新聞朝刊県内総合版より)

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