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中日新聞掲載の大学記事

2016.02.11

統合失調症の治療薬 副作用起こす遺伝子特定 藤田保健衛生大など

 幻覚や妄想などの症状が出る「統合失調症」の治療薬を投与した後、副作用が起きる患者に共通する遺伝子を藤田保健衛生大(愛知県豊明市)などの研究グループが突き止めた。リスクが低い患者を見分け、投薬を促進できる可能性がある。論文が米科学誌電子版に掲載される。

 統合失調症は15〜20歳以降の発症が多く、患者数は80万人に上る。うち2〜3割は治療が難しく、薬剤「クロザピン」が唯一、有用とされる。ただ、感染症から体を守る血液中の「好中球(こうちゅうきゅう)」の数を急減させる致死的な副作用があり、普及していない。

 グループは、クロザピンの投与で好中球が少なくなった患者のDNAを解析。免疫応答に関連する遺伝子に特殊な型を有する人はそれ以外の人と比べ、副作用のリスクが10倍ほど高かった。現在、好中球が減った患者は投薬を中止しているが、この遺伝子の型がない人には投与を続ける道が開けそうだという。

 研究を率いた藤田保健衛生大医学部の岩田仲生教授(精神神経科学)は「クロザピンは、幻覚や妄想などによる自傷や暴力的な行為が収まるなどの効果を期待できる。研究を進め、投与する患者を増やしたい」と話している。

(2016年2月11日 中日新聞朝刊3面より)

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