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中日新聞掲載の大学記事

2015.12.05

「鉄人」 東京五輪で聖火を 愛工大生ら ロボ挑戦 まず駅伝

 人気アニメキャラクター「鉄人28号」を再現したロボットを、2020年の東京五輪・パラリンピックの聖火ランナーへ−。二足歩行ロボットを製作する愛知工業大(愛知県豊田市)の学生たちが、そんな目標を掲げて動き始めた。技術的にもハードルの高い挑戦だが、まずは13日に瀬戸市で開かれる駅伝大会に「出場」し、可能性を探る。(河北彬光)

 「ガシャン、ガシャン」と金属音を響かせ、大人よりも一回り小さな「鉄人9号」がアスファルトの上を一歩ずつ進んでいく。

 愛工大のキャンパスで1日、学生ら10人が駅伝大会を想定し、走行実験をした。両脚が宙に浮く瞬間ができる「走る」にはまだ程遠いが、左右の脚で歩くことはできる。組み込んだ25個のモーターが動力だ。

 リーダーの大学院1年、鵜飼政志さん(23)は「路面は平らでなく、歩かせるのが難しい。プログラミングを微調整し、大会までに脚や腕の動作をスムーズにしたい」と意気込む。

 作品の中で自在に空を飛び、悪を撃退する鉄人28号。愛工大のイメージキャラでもあり、03年に学生有志のチームが「自分たちの手で再現してみせよう」と模したロボットの開発を始めた。初めて二足歩行を実現した「1号」から、筋肉の電流を感知して人と同じ動作ができる「12号」まで製作している。

 聖火ランナーへの挑戦は、中小企業の技術を結集して二足歩行ロボット「ロボコロ」を開発した神奈川県厚木市のチームが以前から目標に掲げる。愛工大は開発が縁で知り合い、一緒に目指し始めた。初めての「公式戦」となる駅伝大会は、最も二足歩行が得意な「9号」を使う。

 現状ではロボコロ、9号とも、大人よりやや遅い速度で歩けるレベル。走るロボットはホンダの「ASIMO(アシモ)」が有名だが、学生の手で実現するのは至難の業だ。

 東京五輪・パラ大会組織委によると、聖火リレーの走者は現段階で未定。組織委が19年にルートを決定し、その後走者が決まる。愛工大のチームを率いる工学部の古橋秀夫教授は「非常に挑戦的な目標だが、講義で学んだことを実践し、一つずつ課題を解決する過程に意味がある」と話す。

 13日は「瀬戸地方近郊駅伝競走大会」(中日新聞社後援)に9号とロボコロが参加し、午前9時からの開会式後に登場。スタート地点の名鉄尾張瀬戸駅前の市道を2体が20メートルほど試走する。どの程度進めるかは未知数だが、今後の改良に生かす。雨天時は走らず、会場で2体を展示する。

(2015年12月5日 中日新聞夕刊11面より)

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